鷹・佐藤宏樹が“プロ”を実感した甲斐野央からの一言 初の公式戦で痛感した課題

走者を出してからの投球に課題「球速も落ちたし、コントロールもアバウトに」

「初回は、今までで1番良い感覚がありました。今まで復帰して投げてきた中では、指のかかりとかが1番よかったと思います」。初回は四球こそ出したものの、林、正随から2つの三振を奪った。この日最速となった149キロも初回にマークした。3軍戦で21回28奪三振と高い奪三振率を誇ったが、2軍デビュー戦でも3回5奪三振とウリを損なうことなく自信にもなった。手術前と比べても、進化している実感もある。黙々と取り組んできたリハビリの1年間はアッという間に感じたという。地道にやり続けてきた自信が今の佐藤宏の心の支えになっている。

 一方で、公式戦という緊張感あるマウンドで今まで味わったことのない経験もした。1球ごとに押し寄せてくる疲労感。2イニング目には身体に上手く力が入らない感覚もあった。様々な課題も露呈した。「(走者を出して)球速も落ちたし、コントロールもアバウトになった。ランナーが出てからは自信がなくなったというか。やばいやばいと言う気持ちもある中で投げてしまった。抑えなきゃとか、ストライク入れなきゃとか、自分が追い込まれるような感じの気持ちになってしまった。そこがこれからの課題です」。2軍で投げられたからこそ自分の現在地がハッキリと見えてきた。

「まずは3軍でセットポジションやマウンドでの振る舞いなど見えた課題を克服してから、こっち(2軍)にきて頑張ってくれとの事だったので、まずは3軍でしっかり投げられるように頑張りたい」と佐藤宏。術後の影響はないが、まだ50~60球程度の球数制限は設けられている。今後、徐々に球数を増やし、制限が無くなる段階まで進めていく。「人より1年間遅れている身なので、いい結果を求めるんじゃなく、自分が成長して行くんだと何事もプラスにとらえて、これから3軍でしっかり投げて、また2軍で投げたい」と今後を見据える佐藤宏。ポテンシャル高きサウスポーがプロとして大きな一歩を踏み出した。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)