見るからに逞しくなった肉体 鷹・周東佑京がリハビリ期間で遂げた“10キロ増”の進化

227日ぶりに実戦復帰を果たしたソフトバンク・周東佑京【写真:上杉あずさ】
227日ぶりに実戦復帰を果たしたソフトバンク・周東佑京【写真:上杉あずさ】

離脱前から大幅増の75キロ前後になり「出力が上がった」

 12日にタマスタ筑後で行われた四国ILの香川との3軍交流戦で227日ぶりに実戦復帰を果たしたソフトバンクの周東佑京内野手。右肩の手術を受けたスピードスターにとって、実戦は昨年8月28日のオリックス戦(京セラD)以来のこと。長かったリハビリを経て、復活に向けての第一歩を踏み出した。

「2番・DH」でスタメン出場した周東。初回の第1打席でいきなり右中間への二塁打を放ち、復帰初安打。3回の第2打席は低めへの変化球にバットが空を斬り、空振り三振に。この日は2打数1安打でベンチへ退くと、「試合にしっかり戻れてほっとしています」と清々しい表情。復帰後初打席で結果が出たこともそうだが、何より試合に出られたことに喜びを感じていた。

 最後に出場した試合から実に227日。先の見えないリハビリの日々に「本当に戻れるのかなと思った時期もあった」と胸中を明かした周東。久しぶりの実戦にも「全然緊張してなかったです。ワクワクもそんなにないです。普通にやれました。あまり気を張らずにやろうかなと」。張り切りすぎて、再び故障してしまっては元も子もない。待ち望んだ実戦の舞台にも周東は冷静だった。

 昨年8月から続くリハビリの日々。当初は1軍の様子が気になり、モヤモヤしてしまう時期もあった。ただ、ふとした時に気づいた。「あまり先々のことを考えちゃっても、焦ったり、どうしようどうしようってなるので。練習できるかと言っても練習できないので、今出来ること、目の前の1個1個と向き合ってどう改善していくか」。かつて他の選手の活躍が気になって仕方がなかった周東は、リハビリの日々を経て周りを気にすることは無くなった。自分自身に矢印を向け、やるべきことに集中できている。

 この8か月での進化の跡も見てとれる。ほっそりした姿だった体はひと回りも、ふた回りも大きくなった。離脱前に比べて体重は実に10キロ増の75キロ前後に。「出力は上がったと思います。これまで10でやっていたのを7、8くらいで出せている」とパワーアップを実感。この日は「身体が重たいな」と感じたというものの、それは増量からではなく「試合感覚的な感じだと思います」と分析。武器であるスピードが失われる心配はないようだ。

 今後は、守備や走塁の面でも不安なくプレー出来るように、徐々に段階を上げていく予定。「今日は、今持っている分は出しきれたと思いますが、(1軍に戻るのが100だとしたら)まだ20くらいです。もう少し…いや、まだまだかかると思うんですけど、1歩1歩進めているとは思うので、今出来ることをしっかりやって結果を残して、皆さんにもう一回いい所を見せられるように頑張りたい」。こう語って前を向いた周東。1軍への道のりはまだ道半ばだが、心身ともに成長した頼もしい周東の復帰が待たれる。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)