上沢が明かした不安と掲げた目標
昨季とはまた違った不安を持ちながら、シーズンに臨む。上沢直之投手が毎年恒例となっている沖縄・宮古島での自主トレを公開した。自己最重量の92キロに増やし、目指すは投球回180イニングだ。
昨年オフに米国から帰国し、ホークスに加入した右腕。右肘の怪我から明けたばかりだったことに加え、慣れない環境やNPB球、米国と違う柔らかいマウンド……。さまざまなことへの対応に追われた1年だった。そんな中でも、移籍初年度は自己最多タイとなる12勝を挙げ、チームは日本一に。充実したシーズンを送った。
今オフは日本ハムからメジャー移籍、そしてホークス入団と同じ道を辿った有原航平投手が退団。投手陣では残留が決まった東浜巨投手に続く年長者となった。上沢が口にしたのはチームを引っ張る覚悟、そして“不安”だった。
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上沢が今季抱く「ちょっといい悩み」の正体
有原の穴埋めへ、エースが掲げた「本当の目標」
開幕投手候補が誓った「マウンド上での約束」
「去年は去年で、投球をはじめ色々な不安が結構多かったです。毎年、(この時期は)今取り組んでることが上手くいくかなっていう不安はあります。でも去年の悩みに比べたら、ちょっといい悩みかなというか……」
帰国1年目の昨季は最終的に12勝6敗、防御率2.74をマーク。長丁場のペナントレースを戦う上で必要だった強靭な体を作るべく、シーズン中も週4回以上のウエートトレーニングを行った。シーズン中盤には疲労が蓄積し、7月には2軍落ちも経験。それでも、9月には月間MVPを受賞するなど復活し、優勝の立役者となった。
日本ハムが日本一に輝いた2016年は開幕前に右肘の手術を受け、1軍登板なしに終わった。昨季は自身にとって初めて歓喜の美酒を浴びた1年。チームにとって3連覇を目指す今季は、それに伴う責任も大きい。
日本一が故の責任「かかる期待もいつもとは違う」
「去年が日本一という形で終わっているので、それが基準になって見られると思う。リーグで1番強かったチームに所属した状態で今年のペナントに入る。かかる期待もいつもとは違うかなと思います」
そんな中、オフには有原が日本ハムへ移籍。「チームのため」に掲げたのは投球回180イニングと防御率2.50以下という目標だった。昨季は144回2/3で防御率2.74。14年間のプロ野球人生でいずれの数字も達成したことはない。
「有原さんが抜けるのも多少なりとも影響があると思う。長いイニングを投げてくれる人がいることがチームとしても一番ありがたいだろうし。チームがうまく回るためにそういう選手になりたいなっていうのはあります」
直近5年のパ・リーグを見ても、投球回180イニング以上を達成したのは山本由伸(2021、2022年)、有原航平(2024年)、伊藤大海(2025年)の3人のみ。長いイニングを投げるには、それ相応の信頼が必要になる。
「途中で降りたくはないですね。『投げさせてください』って言ったら、いかせてくれるような投球ができていればいいなと思います」
有原が抜け、昨季のMVPであるリバン・モイネロ投手もWBCに出場予定だ。上沢が開幕投手を任される可能性も十分にある。「今まで達成したことのないイニング数なんで、そこに挑戦したい」。チームの顔として、投手陣を引っ張っていく。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)