山本が残す“爪痕”…5四球の近藤には驚愕 入れ替えにも言及、小久保監督の一問一答

徹底した独自取材、データ分析
選手の本音や核心に迫る「鷹フル」

本塁打を放った山本恵大を笑顔で迎える小久保裕紀監督【写真:古川剛伊】
本塁打を放った山本恵大を笑顔で迎える小久保裕紀監督【写真:古川剛伊】

試合前に言及していた周東佑京の起用

 ソフトバンクは2日、楽天戦(みずほPayPayドーム)に5-2で勝利した。先発の有原航平投手は6回2失点で9勝目を挙げ、3年連続の2桁勝利に王手をかけた。

 打線は2回に牧原大成内野手が先制適時打を放ち、主導権を握った。5回にはジーター・ダウンズ内野手の3号ソロ、7回には山本恵大外野手の2号ソロで、効果的に追加点を奪った。この日、取材に応じた小久保裕紀監督の一問一答は以下の通り。

●試合前

――周東佑京選手はスタメン起用?
「練習が終わってから決まります」

――腰の状態を見極めながら。
「膝ではないですからね」

――無理をするとしても、もう少し先。
「きのう病院にいってだいぶ良くなったみたい。練習が終わって、本人と話してどうするかです」

「うまくいかない時に人は成長する」

――日本ハムとの差を踏まえて、今は選手起用を決めている?
「ローテーションだけです。去年みたいに先までいっていない(決めていない)。去年はどのカードに誰をあてるとかなかったんですけど、独走だったので。今はそうはいかないです」

――考えることも多くなる。
「うまくいかない時に人は成長するんです。順風満帆の時は誰でも一緒なので」

――海野隆司選手のスタメン機会が増えている。
「嶺井(博希)のバッティングがいいから、打てなかったり主力がいない時はいかに点を取るかを考えていた。そこですごく頑張ってくれたんですけど、今は海野の良さに期待して使っているというところです」

――1日の試合でも盗塁阻止。
「もともとタイムは(甲斐)拓也と変わらないです。今年もそうじゃないですか」

(監督自ら)

「というか、きのうは(庄子雄大選手を途中で替えたのは)懲罰交代じゃないですからね。ミス(二塁走者で牽制死)をしたから替えたわけじゃない。野村勇というのは決めていたので」

――庄子選手は守備でのミスもあった。
「あれで(試合終盤には交代させることを)決めましたね。2位で入ってきて、大卒ですからね。去年だと(我慢できたかもしれないけど)ね、今年はそうはいかない。危機感は持った方がいいです」

1日の楽天戦…庄子雄大は「懲罰交代じゃない」

――7月30日の日本ハム戦、藤井皓哉投手が2敗目を喫した。改めて、彼の存在感というのは。
「藤井、松本裕樹、杉山(一樹)でやられたら仕方ないです。あそこは清宮がよく打ちましたよ。ええ試合でしたね。もちろん負けて悔しいんですけど」

「あと、あそこは勝負をかけて僕が外野を前に来させていたんです。根拠のない閃きではあったんですけど。佐藤直樹もギャンブルでいってくれて、あともう少しだった。内野の間を抜けて同点になる方が嫌だったし、藤井が投げているので先に攻めて仕掛けようと。連投ではありましたけど、藤井の球を見て清宮でも長打は難しいと思った。その中で最後はレフトだけ下げさせたんです。あっちに弾かれる可能性を考えて、レフトとセンターは前にいた。でも(佐藤直選手も)あそこまでいったからね。(前進守備でなければ)逆転はなかったのかもしれないけど、セオリーと違うことをしていたので」

――監督の表情も印象的だった。緊張感を楽しんでいるようだった。
「楽しいですよ。見ているファンの方々も楽しかったんじゃないですか。まだ(日本ハムとの試合は)ありますからね。直接対決が全てではないですけど」

(監督自ら)
「きのう、(北海道の移動ゲームで)僕でもしんどかったです。今シーズンで一番朝起きるのがきつかったし、選手はもっとしんどかったと思う。よく頑張ってくれました」

――川村友斗選手が2軍戦に合流している。アピールを続けているのでは。
「その通りですね。リハビリ組からも外れていますし、いつ入れ替わってもおかしくないというものを出してくれたら」

登録抹消となった木村大成は「2日限定で呼んだ」

――入れ替えといえば、木村大成投手が登録抹消となった。1軍にいた期間について。
「2日限定で呼んでいるので。その話は、(1軍に)呼んだ時にしてあります。でもね、ブルペンにいてもあの首位攻防戦を味わったわけですから。あんなところでなかなかマウンドには上がれないですよね。そういう選手になりなさいという話はしました。もちろんゲームに出るのが一番なんですけど、ここでやるのがプロ。そういう空気は感じてくれたんじゃないかなと思いますよ」

――今年はイヒネ・イツア選手を1軍に昇格させ、経験を積ませることもあった。
「僕らができるのは環境を与えること。イヒネもね、2軍に落ちてからずっと取り組みが変わっていない。それくらい全然違うんですよ。よく打っているし、あれだけ試合に出させてもらっている中でね」

――2軍も、リーグ優勝を狙える位置にいる。監督も、2023年にウエスタン優勝を経験した。
「まだまだ(先は)ありますけどね。2軍の優勝は僕にとってもいい経験でしたよ。やっていてそう感じましたね。漠然と(日程が)進むよりは、そういうものがある方が絶対にいいです」

●試合後

絶賛したのは奈良原コーチ!?明かされた理由は

――2回、3回と効果的に追加点を挙げた。
「佑京が3試合ぶりですかね、スタメンに戻った。初回は先頭打者で出てくれたし、そこで点は入らなかったんですけど。おっしゃったように、その後にいい攻撃ができましたね」

――ダウンズ選手、山本選手に本塁打が生まれた。
「山本は逆方向にね、非常に打球が伸びるバッターなんですけど。ちょうどあの角度を見ていても、切れる角度じゃなかったので、打った瞬間にホームランだなと思いました。きょうは本当にダウンズにしろ山本にしろ、ピッチャーを助けるというか。試合展開的には非常にポイントとなるホームランだったと思いますね」

――有原投手は6回2失点。
「ヒットを打たれても粘り強く。今年の彼の投球スタイルなので。あとは(ダーウィンゾン・)ヘルナンデスが連投になりましたけど、左が続くところだった。この先の8月、また9月の戦いを見据えた時にヘルナンデスの力が必要なので。きのう、きょうぐらいのピッチングしてくれると、ちょっと厚みが増すかなというふうに思いましたね」

――5回1死満塁では村林選手の打球を、遊撃の野村勇選手がショートバウンドで処理。併殺打にして切り抜けた。
「(奈良原浩)ヘッドがハーフライナーの練習を、もう1年半ぐらいしていた。きょうやっと本番で出ました。練習の賜物です」

――杉山投手がベンチ外で、8回に松本裕投手、9回に藤井投手と繋いだ。
「藤井は前回(7月30日の日本ハム戦)やられているので。杉山が上がりの日に、クローザーでいく方が、どっちかというと、なんかやり返してやるというか。いらんことを考えずにバッターに向かっていけるんじゃないかと。もうきょうは9回にしておきました」

――今後に向けて。
「全く緩めることなく、自分たちの野球をしっかりやり続けたいと思います」

――ダウンズ選手は本塁打だけではなく、初回でもダイビングキャッチを見せた。
「あれが抜けていたら1点でしたからね。大きかったですよ」

――近藤健介選手が1試合5四球。
「4打席、1スイングも仕掛けずに四球を取った。あんなの、できるのは彼しかいないでしょう」

――監督は現役時代、通算723四球。
「僕は我慢できなかった。“エイヤー”でいってしまうタイプだったので。素晴らしいですね」

――牧原大選手の存在について。
「9番に入れた時、1番にいい形で繋ぐバッティングをしてくれますよね。あれを6番に入った時にもやってくれたら、厚みは増していきますよね」

――杉山投手がベンチ外だった。
「きのうの試合後に監督室に呼んで『あしたはリフレッシュ』と。今週は3試合に投げて、全部セーブシチュエーション。首位攻防戦もあって、きのうは移動ゲームでしたし。残り試合を考えたら、外すのはきょうかなと思いました」

――周東選手は3試合ぶりのスタメン。プレーを見ていて、どうだったか。
「最後に点が入ったら緒方(理貢)がセンターだったんですけどね。きのう病院にいって、治ってはいないんですけど。ケアをしながら、状態を確認しながらの起用になります」

――山本選手は起用すれば、何か1つ残してくれる。
「その前には死球もあったしね。初回に犠飛が打てたらいいですし、そこを目指してやってほしいです」

(竹村岳 / Gaku Takemura)