「第3回現役ドラフト」が9日に行われ、ソフトバンクの吉田賢吾捕手が日本ハムに移籍することが決まった。指名終了後、永井智浩編成育成本部長兼スカウト部長が取材に応じた。「吉田放出」を選んだチーム内の決定的な理由を明かした。
吉田は桐蔭横浜大から2022年ドラフト6位で入団し、2年目の今季はプロ初安打を記録した。10試合に出場して打率.192、0本塁打、2打点。1軍では壁にぶち当たったものの、ウエスタン・リーグでは打率.303をマーク。持ち味である打力に少しずつ磨きをかけていた。
みずほPayPayドームを訪れた吉田は、球団から「期待していた」と声をかけられたという。打撃面での確かな足がかりを掴んでいた中、なぜ放出することになったのか。永井本部長が明確な理由を明かした。
「当然、いい選手で期待していたんですけど。彼のホークスでの出場機会という話になった時に、タイプの似た選手が多いかなと。(移籍先で)いい機会をもらえるんじゃないかとも思っています」
吉田は今季、捕手登録ながら一塁を中心に出場機会を重ねた。今秋のキャンプでは三塁の練習も積みながら、少しでも可能性を広げようと努力していた。永井本部長は「右バッターは貴重なんですけどね。(ネックは)守備のところ。ファーストだと山川(穂高)くんが頑張っているし、石塚(綜一郎)くん、井上(朋也)くんもいて、タイプが被ってしまうところはあったのかなと思います」と説明した。戦力層の“ダブり”を考えると、白羽の矢が立ったのが吉田だった。
リーグ優勝を掴んだ2024年、小久保ホークスはシーズンのほとんどを「捕手2人制」で戦った。国内FA権の行使を宣言した甲斐拓也捕手の去就は、いまだに決まっていない。捕手登録の選手を放出するということには「今年は打撃を生かして他のポジションをやっていましたから。吉田くんみたいな、キャッチャーもできるというのは利点ではあったと思うんですけど」とだけ言及した。
大卒2年目での移籍となった。24歳という若さではあるが、「年数を重視している、というのはないですね。去年うちに来てくれた長谷川(威展投手)も、確か2年目で来てくれましたから」と強調する。あくまでも、球団内で吉田が選出された理由は、戦力的に似たタイプの選手が多かったから。ホークスとしても評価していた1人であることは間違いなく、永井本部長も「望まれていくので、チャンスはあると思います」とうなずいた。
一方で、ホークスに入団するのは上茶谷だ。2018年、ドラフト1位で東洋大からDeNAに入団。大学時代は、現西武の甲斐野央投手ともチームメートだった。1年目からは7勝を挙げて、通算では121試合に登板して20勝23敗、防御率4.12。永井本部長は「能力は評価していました。先発とリリーフ、どちらでも可能性があると思うので。僕ら(フロント)としては先発でチャレンジしてもらいたい」と起用法についても言及した。
他球団が誰が放出するのか、テーブルに並んでみないと誰を指名するのか決められないのが現役ドラフト。ホークスとしては事前に投手を補強するつもりだったといい、上茶谷は「ほしかった選手です」とキッパリ言った。総合力の高い能力と、明るいキャラクターが代名詞。まずはチームに、しっかりと溶け込んでもらう。