ファンが命名「川村飲み」 首脳陣から“親のような”意見も…後輩が真似するから「やめて」

ソフトバンク・川村友斗【写真:竹村岳】
ソフトバンク・川村友斗【写真:竹村岳】

鷹フルのXに投稿した廣瀬隆太の写真…一部のファンから届いた声が「川村飲み」

 片方の手でペットボトルを持って、もう片方の手でキャップを捻って、水を飲む。普通の行動かもしれないが、そんな中でもクセの強さを見せている選手がいる。川村友斗外野手だ。7月31日に鷹フルのX(旧ツイッター)でアップしたのは、廣瀬隆太内野手が水を飲む写真。この投稿に、少数のファンから「川村飲みや」との声が届いた。グラブをはめたまま飲む“川村飲み”。一体、どんな経緯で生まれたのか。緒方理貢外野手や正木智也外野手、村松有人打撃コーチ、本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチに意見を聞いた。


ソフトバンク・廣瀬隆太【写真:竹村岳】

 川村の言い分は、こうだ。「外野手は打球捕をしているからです。右手でペットボトルを持って、左手にグラブをしているじゃないですか。そこで挟んで飲む方がいいというか、そう(グラブを外す)飲む必要がないなって」。一部のファンから「川村飲み」と呼ばれていることについても「いや、絶対に違います。たまたまそれが抜かれただけで、絶対みんなやっていますよ!」と弁明した。自分自身が“発祥”ではないと強調する。

 ここからは川村も必死だ。「え、ギーさん(柳田悠岐外野手)もやっていませんか?」。筆者は見たことない。取材中に、海野隆司捕手が通りかかる。「こうやって飲みますよね?」と聞いても、首を横に振って否定された。「外野手だけなんですかね?」。

 今度は、村松有人打撃コーチが通りかかった。「村松コーチも絶対にやっています」と言ってから、外野守備走塁コーチの経験が豊富な村松コーチに「グラブがあって、ペットボトルがあるじゃないですか。こうやって飲みませんか?」と聞く。首を横に振って「なんやそれ。やったことないわ。グラブ外して飲むもんやろ。汗は仕方ないけど、濡れるのは嫌やろ」と笑われた。「本当にみんなやってるんです」。

 次は本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチだ。川村が聞く。必死に説明したが「やめてくれる? あれ廣瀬が真似してるんやけど。そんなクセつけやんといてよ」。内野手は自分の管轄。廣瀬が“川村飲み”をしているところを見たそうで「『これ川村もやってるわ』って思ったもん」と、やっぱり川村が発祥だという意見が集まる。その会話を見ていた村松コーチも「そんなんしたことないぞ!」と、続けて反論された。

ソフトバンク・正木智也【写真:竹村岳】
ソフトバンク・正木智也【写真:竹村岳】

 一方で“擁護派”もいた。緒方にも、取材してみた。「僕もそう飲みますね。誰でもそうするものじゃないんですか? 誰がその飲み方してるとか意識して見ていなかったです」と、川村と同じく、緒方も全員がそうしているものだと思っていたようだ。理由も「楽じゃないですか。いちいちグラブ外さなくていいので、めっちゃいいですよ。1回やってみてください」と売り込んでもきた。“川村飲み”という名称には「みんなそうやって飲んでるのに、あいつはファンが多くていいですね!」と羨ましがっていた。

 川村と同学年の正木にも聞いた。「昨日(3日)初めてやったんですよ、めちゃくちゃ飲みにくかったです」と笑って語る。川村と緒方が口を揃えた、全員がやっているという意見にも「いやいや、やっていないですよ。流行っていないです」とやんわり否定した。正木はちゃんとグラブを外して、キャップを開ける派。その「外す」というプロセスを“川村飲み”では飛ばしているという主張を伝えると「ああ、そういうことか! 確かに。そう言われたらその方がいいかもしれないですね。でも飲みにくいです」と、やっぱり笑っていた。

 ちなみに正木は水よりはアクエリアスが好きで「僕はペットボトルを潰して飲みたいんですよね」と好みを明かす。果たして“川村飲み”は流行するだろうか。本人の主張は最後まで「みんなやってますって。逆にやってない人いないですよ」だった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)