松本裕樹が納得した「今までとは違う考え」 球宴前日…北海道で知った小久保監督の信念

ソフトバンク・小久保裕紀監督(左)と松本裕樹【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀監督(左)と松本裕樹【写真:竹村岳】

北海道で行われた“小久保会”…オールスターに選出された選手たちと食事へ

 楽しい雰囲気の中でも胸に響いた会話があった。「マイナビオールスターゲーム2024」が23日、エスコンフィールドで第1戦が行われた。ソフトバンクの小久保裕紀監督はその前夜、選手を連れて、行きつけの店を訪れていた。

 球宴に選出された松本裕樹投手、有原航平投手、大津亮介投手、山川穂高内野手、栗原陵矢内野手、周東佑京内野手、近藤健介外野手らと食卓を囲んだ。「楽しい雰囲気で、割と野球のことも話してって感じでしたね」と、松本裕は北海道の夜を振り返る。「(よく発言していたのは)佑京さんか、山川さんか。監督と山川さんが色々バッティングの話はしてたので」と、雰囲気を明かした。

 野手出身の小久保監督と、バッター陣との間では打撃談義に花が咲いた。松本裕も「それを聞いてるような感じです」と、個別でかけられた言葉はほとんどなかったという。それでも、プロ10年目で「シーズン中は初めて」という監督との食事の場。改めて感じたのは、小久保監督の“信念”だった。

「ピッチャーの継投とか、そういったところを、すごく信念を持ってやっているという感じだったので、そこが今までとは違うなって思いました」

 前半戦は38試合に登板し、25ホールドを記録した松本裕。ロベルト・オスナ投手の登録抹消後はその代役を務め、ブルペンの柱として大車輪の活躍を見せている。松本裕が信念を感じたのは継投に対する考え方だった。「全試合勝つつもりで戦ってないというか。試合の流れによって見極めて、そこで(試合展開が)いいふうに転がっても、そこの信念を変えずに、一度決めたことをしっかりやり通すっていう感じですかね」と、自分なりに指揮官の考えを理解している。

 143試合を戦うペナントレース。2位に10ゲーム差をつけた前半戦でも、ホークスは29敗を喫した。小久保監督も「優勝するチームでも絶対に50敗くらいはするんで。負けたときに、何か一つお客さんに持って帰ってもらおうという思いはずっとあります。唯一ゼロというのもおかしいけど、そういったものがなかったのは1試合だけだったんでね」」と話すように、勝ち試合はもちろん、負け試合でも信念を抱いて振るってきたタクトは、選手にも伝わっていた。

 普段から小久保監督は、役職を飛び越えてコミュニケーションを取らないことを信条としている。選手と食事に行くことも「例外的に何かのお祝いで行ったりすることはもちろんありますけど、基本的には距離は取ってます」というスタンスだ。貴重な機会だったからこそ、松本裕にとっても「どういう考えでやってんのか、ここまでやってきたのかっていうところが聞けたのがよかったです」と“小久保野球”に対して理解を深められる場となった。

「普段聞けない話とかは聞けたので。監督がどういう考えで、ここまでやってきたのかっていうところが聞けたのがよかった。納得できる感じですかね」

 28日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)でも1回無失点に抑えて、後半戦の初セーブを挙げた松本裕。北海道の夜に知った小久保監督の気持ちを胸に、チームの勝利を締めくくる。

(飯田航平 / Kohei Iida)