打席で見せた工夫と迷い…「できないのに今からやっても無理やな」
その姿勢と工夫はきっとチームの勝利に貢献するはずだ。19日に本拠地・みずほPayPayドームで行われた西武戦に、2-1で逆転サヨナラ勝ちを収めたホークス。「ピンクフルデー」最終日に、満員となったドームは大歓声に包まれた。
この試合で「2番・遊撃手」として出場したのが野村勇内野手だ。結果は3打数無安打。9回に巡ってきた打席では、代打に中村晃内野手を送られることになったが、野村勇が見せた打席での工夫を、奈良原浩ヘッドコーチは評価した。
「かなり短く持ってましたね。その打席の中で自分がどうしていくのかっていう、プランを立てながら、今日の球だったらこうなってるな、じゃあ短く持っていこうかなっていう、そういう工夫っていうのはやっぱり大事かなと思いますね」
野村勇が見せた工夫は“バットの長さ”。1打席目はバットをグリップ1つ分ほど短く持って打席に入った。結果は見逃し三振だったが、追い込まれてからもファウルで粘る姿勢を見せた。
「球速いなと思って1打席は短く持ったんですけど、徐々に行けそうやなと思って(2打席目から)長くしていったんですけど。短く持っても打てんかったし、短く持っても良さが消えるんで……」。野村勇はこう振り返る。2打席目以降もグリップを余して握る工夫を見せたが、1打席目ほど短く持つことはなく、結果もついてこなかった。
「『何がしたいん?』みたいな感じでもったいない。じゃあ晃(川瀬)が出た方がいいかなって感じです。ちょこちょこするの苦手なんで。できないのに今からやっても無理やな。うわ、どうしよう」。冗談交じりに話すも、結果を残すためになんとか工夫しようとする気持ちと、迷いが交錯していた。
それでも「同じように打ち取られてるようでは、チャンスが少なくなってくるでしょうから。工夫する中で何かが見つかってくるっていうケースもあるでしょうし。その打席の中で工夫していくっていうのは非常に大事」と、奈良原ヘッドの目には今後に期待が持てるものだと映る。
「1打席目アカンから2打席目短く、それはダサいんでやめます(笑)。家帰ってゆっくり考えます」。野村勇がこう語ったのは19日の試合後。翌20日に行われた全体練習ではバットを長く持ち、フリー打撃を行う姿があった。「今のところは長く持ちます。それで無理やったら仕方ない」。気持ちは吹っ切れた。あとは限られたチャンスの中で結果を残すだけだ。
(飯田航平 / Kohei Iida)