小久保監督の我慢と信頼…海野に与えた“挽回のチャンス” 首脳陣3人のコメント全文

西武戦の指揮を執ったソフトバンク・小久保裕紀監督【写真:荒川祐史】
西武戦の指揮を執ったソフトバンク・小久保裕紀監督【写真:荒川祐史】

野村勇とリチャードのスタメンは「チャンスを与えようって」

 ソフトバンクは18日、本拠地・みずほPayPayドームでの西武戦に3-2で逆転勝ちした。初回に1点を先制するも、2回に先発の大津亮介投手が若林に逆転2ランを被弾。その後、西武先発の渡邉を攻めあぐねたものの、8回に近藤健介外野手が3番手の松本から右翼スタンドへ逆転6号2ランを放って試合をひっくり返した。試合後の小久保裕紀監督、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)、奈良原浩ヘッドコーチのコメント全文は以下の通り。

○小久保裕紀監督

――近藤の一振りが救ってくれました。
「そうですね、先発の渡邉がなかなかコントロール定まらない中で、(自分も)経験がありますけど、意外にああいうのは打ちにくいものでね。嫌な流れだったんですけど、近藤は1打席目のレフトフライも2打席目のライトフライも、紙一重のところだったんで、最後にストレートを1球で仕留めるところはさすがだなと思いましたね」

――昨日のホームランと同じで見逃せばボール球かもしれない。
「松本なんでね、8回セットアッパーになってからやっぱりストレートが基本的には中心になってましたので。それを1球で仕留めるところはさすがですね」

――大津投手もよく投げた。
「そうですね、あのまま負けていれば『あの1球が』っていうのになったと思いますんで、そういう反省を生かして、打ちに来ないだろうのストレートだったんで、悔いが残ると思う。全球、全て悔いが残らないボールっていうのは難しいかもしれないですけど、結果的にあの1本で負けたとなると、多分悔いが残っていたと思うので、次に生かせばいいと思います」

――明日の西武の先発は武内投手。
「そんなに点は取れないと思います」

――何か武内対策はありますか?
「いや、まだスタメンも全然考えていないんで、これからどうしようかなという風に、これから考えます」

――山川選手が打点を挙げた試合の不敗神話が続いた。
「そうですね。そういうのはいずれ途切れるのが記録なんで、あんまり気にせずやっていきます」

――近藤選手の一振りというのは山川選手が三振した直後の初球だった。
「山川は次に近藤がいる中で最悪、最悪というかね、当てに行ったゴロっていうのは多分一番、自分の中でケアしていると思うんで、それはもうずっと開幕から見ていると、そういう流れなんで、三振で、もうワンチャンスっていう割り切りは、4番はそれでいいんでね」

――近藤選手のホームランは監督も興奮の表情だった。
「まあね、なかなか今日みたいな展開は、結構ランナーを貯めながらも入らないっていう、初先発のピッチャーで絞りにくい中で、嫌な雰囲気ではあったんですけど、本当に何度も言いますけど、さすがですね。あのボールを、あの場面で逆転2ラン打つんですから」

――打率も高く、本塁打も打てる。
「そうですね。それはもう去年、去年というか、キャッチャーから野手に専念してからずっとあのスタイルなんでね。こっちとしては、何回も言いますけど、コンディショニングの管理をしながら、1年ずっと出続けてもらうってのが一番、戦力として大切なことだと思いますので」

――相手が右の渡邉投手。野村勇選手とリチャード選手がスタメンだったのはデータ面から?
「いや全然、そういうわけじゃないですけど、リチャードはフリーバッティングがめちゃくちゃ良かったんで、ちょっと使った方がいいかなという話ですかね。あとは(今宮)健太があまり、なかなか結果が出ていない中で、1回、勇にチャンスを与えようっていう話でやりましたけどね。2人とも実質、2回出塁しましたからね」

――初回のダブルスチールは一塁に野村勇選手がいたから仕掛けられた?
「そうですね。基本的にはあの組み合わせとか三森、あと誰かな、川村、緒方ぐらいまでじゃないですかね」

――チャンスが広がる、と。
「もうあの場面でいったら、内野手は下がるんで、ゴロさえ打てば1点は入るんでね。そういう感じの点の取り方でしたね、初回は」

――海野選手に代打を送るタイミングもあった。
「今日は、初球のホームラン、バントの失敗、そんな悪いバントではなかったですけどね。向こうのファーストが結構、いい守備をしましたけど、チャンスで取り返してこいよっていう感じでしたけど。取り返せませんでしたね。でも、勝ったんでね。キャッチャーは勝てばいいんで。最後まで行かせました」

――長谷川投手が勝ち運を持っている。
「そうですね。プラス最後、スリーツーになって、外崎のところをやっぱりしっかりしのげたっていうのも、逆転に繋がったと思うんで。また明日頑張りましょう」

ソフトバンク・倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)【写真:竹村岳】
ソフトバンク・倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)【写真:竹村岳】

○倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)

――大津亮介投手は6回2失点。
「1週空けて、いい状態をキープしてくれているので、あそこの1球の反省はもちろんありますけど、それ以降は1人の走者も出すことなく。期待通りの投球をしてくれたのでよかったと思います」

――余力を残しての降板にも見えたが、試合に勝つための采配。
「勝つためもそうですし、今後のことも考えています。今日の試合のことだけを考えているわけではなくて、先のことも考えて判断しています」

――1点を追う中で、津森宥紀投手、長谷川威展投手という継投も、シミュレーション通り?
「そうですね、シミュレーション通りです」

――長谷川投手は投げる度に印象が上がる。
「安定してゼロに抑えてくれているので、長谷川だけではなくて、他の中継ぎ陣も本当に結果を残してくれている。いつも言っていますけど、頼もしく思っています」

――左キラーという印象があるが、最後は外崎選手も抑えた。右打者を抑えられる要因は。
「右が嫌がるフォーム、球質なのか、左が嫌がる球質なのかというところ。左対左が必ずいいというわけではなくて、持ち球や質、フォームを総合して長谷川は右でも十分、中継ぎで計算できるという、キャンプ、オープン戦を通じてそういう評価をしています」

――勝ちパターン以外の投手は、登板数が均等になっているように見える。どの投手も信頼できる証。
「そうですね。上手く空いている投手を使いながらというか、結果的に同じ試合数になっていくんです。それは中継ぎの投手の状態をいかにいい状態を維持するのかを考えると、定期的に投げさせないといけない。間が空きすぎてもいけないし、投げさせすぎてもいけない。登板間隔っていうのは見ていますので、それだけ、誰が行っても信頼できるメンバーが揃っているっていうのはありますね。そのメンバーをどうやっていい状態を維持していくのかっていうことしか考えていないです」

――常々おっしゃっていますが、本当にハイレベルな中継ぎ陣。
「本当にそう思いますね。みんな“投げたい投げたい”なので。嬉しい悩みですけどね。選手は大変だと思いますけど」

――8回に逆転して、ロベルト・オスナ投手は準備が短い中での登板だった?
「僅差の時は準備は常にしているので、負けていても。普通に準備していきました」

――明日は大関友久投手。期待するところは?
「間を空けた分、少し修正するところもあった。そういうところにもアプローチしてやっているので。明日どういう投球をしてくれるのか、楽しみではあります」

――9回のピンチはマウンドに行っていたが、オスナ投手が呼んだ?
「キャッチャーが呼んだので、サインの打ち合わせも含めてです」

ソフトバンク・奈良原浩ヘッドコーチ【写真:竹村岳】
ソフトバンク・奈良原浩ヘッドコーチ【写真:竹村岳】

○奈良原浩ヘッドコーチ

――初回のダブルスチールは、采配で奪った1点となった。
「周東がやっぱり最高のスタートを切った感じです。彼の能力の高さですね」

――6回のチャンスでは、海野隆司選手に代打を送らなかった。
「いつも出ている選手ではないというところで、スタメンで出て、あそこで(代打を)出してしまうっていうのは、その先を見据えた監督の(判断という)ところかなと思います。出してしまうのは簡単なんですけど、せっかくのスタメンなのに、6回の3打席目に代打を出されるっていうのは海野のプラスにはならないっていう監督の判断だったと思います」

――常々ヘッドもおっしゃっていますが、監督の選手に対する信頼と我慢。
「そうですね。だから、ダメだからバン(って代える)じゃなくて、ここで1打席を立たせることで掴むきっかけっていうところまで考えている感じはしましたね」

(竹村岳 / Gaku Takemura)