オリックス戦が雨天中止…大関友久の登板は「飛ばす形になります」
ソフトバンクは12日、平和リースで予定されていたオリックス戦が雨天中止となった。選手は室内練習場で調整し、その後に帰福した。練習後、小久保裕紀監督と倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)が取材に応じた。チーム防御率は1.99と、1点台に突入した。首脳陣が考える要因は2つ。選手の“競争心”と「僕は絶対に責めない」ということだった。コメントの全文は以下の通り。
○小久保裕紀監督
――年に1回しかない鹿児島で、雨天中止となってしまった。
「オープン戦もあったけど、こればかりはね……」
――大関投手はローテーションを飛ばす?
「これから交流戦までっていうところも含めて、倉野コーチと最終的には決めます。案はあります」
――5連勝中で来たが、チームの雰囲気は?
「まあね。交流戦は1つのポイントになると思う。それまでにも試合はあるけど」
――先発ローテーションは7人以上で回しているが、交流戦のイメージは?
「曜日を確定できるところはして、あとは流動的にって考えています。3週間、同じメンバーで6人バシッとっていう予定にはしていないです」
――栗原陵矢選手に復調の気配がある。
「反対方向に打球が伸びるようになってきた。反対方向にも打っていたけど、擦った打球が多かった。それが伸び出して、どっちかというと後ろの肩(左肩)が出たがる子なので。それが少し、おさまってはいないですけど、反対方向に押し出せてはいると思います」
――そろそろ1号も出そうな気配は?
「オープン戦はポンポンと出たんですけどね。シーズンに入ってホームランが出ていないのは、彼にとっても気持ち悪いでしょうから。でもホームランよりも逆方向へのいい打球が出てきたのは、ひとついい兆しだと思います。昨日のタイムリーとかも悪い時だったら引っ掛けてセカンドゴロになる球じゃないですか。あの辺の球を向こうにアプローチでき始めたのはいい傾向じゃないですか」
――監督も現役時代は、1号が出るまでは我慢の連続だった。
「こんなには打たなかったシーズンは(自分は)ないけどね(笑)」
――投手陣が素晴らしい成績を残す中で、どこが上手く行っている?
「選手個々の技術が上がっている。能力も含めて、与えられたポジションでちゃんとしたパフォーマンスを発揮している。あとは杉山(一樹投手)にしても又吉(克樹投手)にしても、勝ちパターンに入っていきたいっていう競争心もあるでしょうし。藤井(皓哉投手)も最初は悪かったですけど、1回落としてからは本来の藤井になった。9回はオスナ(ロベルト)で、8回には松本(裕樹投手)がいる。盤石ですけど、目標としてはそのポジションを奪いに行くっていう気持ちがあると思うので、その辺が競争意識になって上手く回っていると思います」
――長いシーズンを考えると、この先も投手陣が鍵になる。
「もちろん。ただ何回も言うんですけど、今年の日程は6連戦が少ない。結局、今先発陣の決めかねているところって、空いている枠に3人4人がいるので。そういう現象が起こっている。ある程度決めてやらないと、本人も次どこで投げるのかわからないと調整が難しいので、今日明日には伝えますけど。だから、後半戦ももちろん夏場で暑くなるけど、連戦ということに関しては9連戦の前に6連戦が2回だけ。それしかないから。比較的にその辺は今の先発の数がいればしのげそうかなとは思っています」
――中継ぎでも、イニング途中での交代もほとんどない。
「でもシミュレーションというか『このランナーが出たら行くよ』とは言っています。用意しているんですけど、たまたまそうなっていない。『このバッターからは』って決めていますけどね。それは、そこまで行った時には代えますよ」
――日程が空くのは投手の体を考えるとありがたいのか、シミュレーションをする側にとっては大変なのか、そこはいかがでしょう。
「投手は、今日の中止によって色々考えようと言っていた。今日投げ終わっていたら、また別のパターンがあったんですけど、これから最終的に決めます。雨の方が考えることは多いです」
――牧原大成選手の離脱はあったものの、大きな離脱がなく戦えている。指名打者を上手く回せていることが要因?
「その辺は関係ないんじゃない? ウォーカー(アダム)が落ちてから結果的にそうなっただけで。でも、体調の把握はしています。柳田(悠岐外野手)にしても近藤(健介外野手)にしても、競っているゲームでは最後まで出てもらっているし、その中でちょっと疲れが溜まってきたと思ったら今はDHで回せていますけど。体調管理の把握が一番。それはトレーナーと本人と、話し合いながらやっています」
――三塁は栗原選手とリチャード選手を競わせていく。
「そんなことはない。基本的には栗原です。でもリチャードにもチャンスを与えてやりたいし、野村勇(内野手)にしても十分、頭から使ってやりたいっていうのは当然あります」
――ゲーム差をつけてはいるが、日本ハムが2位にいる。
「でもゲーム差とか全然気にしてない。俺、勝敗とかあんまり知らんねん、見てないから(笑)」
――ここまで戦いを見ても不気味さを感じる?
「不気味さじゃなくて、戦力がいいです。投手がいいです、純粋に。中継ぎに、抑え。田中正義も独り立ちして、9回にチャンスがあるようなチームじゃないので、純粋に強いチームです。不気味ではないです、予想通りです」
○倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)
――先発予定だった大関友久投手は、ローテーションを飛ばす?
「飛ばす形になります。ちょっと後ろに」
――雨はある程度は想定内だった?
「そうですね。雨だから大関を選んだわけではないですよ」
――チーム防御率1.99と、1点台に突入した。
「本当に期待通り、期待以上というか、よくやってくれています。僕数字は気にしていないので、内容を気にしている。そういう意味でもすごくいい状態でみんなやってくれています」
――数字にこだわらない中で、上手く行っている点は?
「なるべくみんなのいい状態を、100の力を持っているとしたらなるべく100に近い状態を出してもらえば、ある程度はいい成績を残せると確信しています。いかに状態を作るかというところで、選手本人はもちろんですけど、トレーナー、他の投手コーチ、スコアラー、バッテリーも含めてみんなが上手く力を合わせてやれている証拠じゃないかなと思っています」
「特にキャッチャーとのコミュニケーションは密にできている。その辺ではバッテリーとしてこの成績を、投手だけの力ではなくてバッテリーとしてこの成績を出していると思います。もちろん、守備もそうですけど」
――特に先発ですが、ゾーンで勝負する意識が浸透してきて、この結果に繋がっている。
「それがどこまで影響しているかはわからないです。ただ常々言っているのはゾーンで勝負することと、3球勝負でどんどん、無駄なボール球はいらないと言っています。一番大事なのはそれで失敗した時に、コーチがその失敗を責めるのか、守るのかというところ。僕は絶対に責めないので。失敗に対して。次にどうするかということしか言わない」
「『こうしたら責められるんじゃないか』『ファームに落とされるんじゃないか』っていう心配を、極力ないようにしてはいますけどね。それがどこまでいい影響を与えたのかはシーズンが終わってみないとわからないです。まだ5月、始まったばかりですから。ここまでの成績はいいかもしれないですけど全く安心できないですし、常に危機感を持ってやっています」
――交流戦も見えてきて、6連戦になっていく。先発陣のローテーションについて、進捗というのはいかがでしょう。
「今日も朝から2時間。本当に2時間考えていました(笑)」
――パターンが多い。
「ありますね。ある程度は固めつつありますけど、それが崩れた時にどうするべきなのかっていうのも含めて、色々考えています」
――部屋で紙に書いたりして考えているんですか?
「もちろんです。書いて整理をしながら、お風呂に浸かりながら。今日も朝から銭湯に行って、サウナに入ってずっと考えていました。鹿児島温泉を堪能しながら、頭は野球のことで」
――ローテーションは当てはめて考える感じですか?
「それもありますけど、この投手がこうなったらこうなるっていう。本当にキリがないんですけど、キリがないのを考えるのが僕の仕事なので。1日36時間ほしいです」
――サウナとか1人になれる場所で考えるんですか?
「1人の時が多いですね。周りに人がいると集中できなかったりするので。サウナが好きなのでずっとサウナにいたり。なるべくリラックスできる状態にして。ネットでいろんな情報を見ていて『いいな』って思ったのが、シャワーの音っていいんですよ。水の音って。あの時に閃くことが多いので、僕は毎朝シャワーを浴びるんですけど、そこでパッと閃くことがあるので。朝起きた瞬間から『これはいい』みたいなのが浮かんでくることはあります。全然関係ない話ですけど(笑)」
――3球勝負を投手陣に伝えているのは、やっぱり2ストライク時の打率が一番低いと言われるから。
「ボール球って、いいボール球ならいいんですけど。昔から言われている『2ストライクから打たれたらバッテリーが責められる』みたいな、それをまずやめたかったんです。2ストライクからど真ん中に行って打たれても、それは技術がなかったねっていうだけ。勝負に行くこと自体はすごくいいこと。そこでコントロールミスしたからといって、責めることはないです。勝負に行ったなら、です」
「ボール球を投げに行って中に入ったらダメですよ。それはダメですけど、勝負に行って真ん中に行ったら、また練習しようで済む話じゃないですか。とにかくボール球を投げないといけないっていうのは絶対にやめようと最初に掲げたので。意味のあるボール球ならいいですけど、意味のない球は極力減らすっていうのはやっています」
――球威のある投手が多いからできること。
「球威は関係ないですね。球が遅い投手でも、勝負に行った方がいいと思う。1球ボールにすることでバッターに考える時間を、選択肢を与えてしまうことにも繋がる。特にランナーがいない時はどんどん行くべきだと思うし。球速とかパワーピッチャーとか、スタイルは関係なく行くべきだと思います」
「アメリカはボール球を使う習慣がないんです。それが、すごくいい部分でもあるし、時にはもうちょっと慎重に行ったらいいのに、と思うこともあった。いいところを全部真似するわけではないんですけど、いいところは取り入れて日本の野球にマッチするようにとは僕はずっと思っていたことなので」
――11日のウエスタン・リーグのオリックス戦ではリバン・モイネロ投手が2回無失点。
「もう報告も受けています。調整登板なので、そんなにマックスの状態でマウンドに上がっていないと思いますし、それも計算通りです」
(竹村岳 / Gaku Takemura)