海野隆司を救った三森大貴の脚力 楽にさせた気持ち「最低限ここまでの打球を」

ソフトバンク・三森大貴【写真:竹村岳】
ソフトバンク・三森大貴【写真:竹村岳】

無死二塁から2本の外野フライでで得点…際立つ三森の“判断力”

 ソフトバンクは3日、PayPayドームで韓国の斗山ベアーズと練習試合を行い、5-2で勝利した。8回に代打で出場した甲斐拓也捕手がソロ本塁打を放つなど、今シーズン初となるPayPayドームでの試合で幸先の良いスタートを切った。

 味方のミスを帳消しにする三森大貴内野手の好走塁だった。2-1と1点差に迫られた4回の攻撃。先頭打者として二塁打で出塁すると、次打者の海野隆司捕手の中飛でスタートを切り、三塁へと進んだ。続く川村友斗外野手の中犠飛で生還。点差を縮められた直後に追加点を挙げることができた。三森の脚力があってこその1点だった。

「三森がサードに行けるように。脚力があるので、ゴロでもある程度強くても大丈夫とか、フライも定位置ぐらいだったら三塁には行ってくれるというのはあったので、そのイメージを持って最低限ここまでの打球を打てばいいな、と考えていました」

 海野は4回の打席をこう振り返る。この打席、海野はバントに二度失敗した。「三森の足は頭に入っていました。だからフライでも三塁には行けると打席で切り替えることができました」。三森の脚力が追い込まれた海野の気持ちを楽にし、結果的にはタッチアップで進塁させることができた。

「あの走塁は当たり前か好判断かで言えば、当たり前の方が近い。あのぐらいの選手であれば、ですね。足も速いので、特にオープン戦の間は『迷ったらとりあえず来てみろ』と、そこでアウトになれば今ぐらいのはいけないんだっていうのはある程度参考になるし、成功すれば自信になる」

 こう語ったのは井出竜也外野守備走塁兼作戦コーチだ。普段から外野手の捕球体勢を見て判断するように指導しており「あの体勢だったから、1人で(三塁に)投げるところではない。結果、カットマンを使っていたので、体勢を見れば、全然いける距離だった」。三森の脚力があれば当然のプレー。指導してきた“捕球態勢”を見て判断し、スタートを切ったことを嬉しそうに語る。

 好判断を見せた三森も「あの時は右打ちのサインだったので、タッチアップと右方向のゴロが行った場合はもう行くだけという感じでした。打球が上がった瞬間に、ハーフウェーの可能性はない、タッチアップ(と判断した)。あとはセンターとの距離感を見ながらという感じではありましたね」。浅いセンターフライだったが、素早い判断ができたことに納得の表情を見せた。

「助け合いだと思いますし、逆の場面はもちろんあると思うので、そこはなんとかカバーし合いながらできればいいのかなと思います」

 淡々と話す三森だが、得点をもたらしたこの走塁は、小久保監督がキャンプ前に語っていた「ゲームの中では一般の人たち、ファンの目が向かないけど、チームにとってプラスを生んだプレーというのもあるので、その辺を見逃さないようにする」という言葉に該当するプレーだった。

 三森にとって脚力はアピールポイントのひとつ。その持ち味がチームメートの気持ちを楽にさせ、得点をもたらした。「そこがアピールポイントでもあるので、しっかりと次の塁を狙いながらやっていければいいかなと思います」。本格的に始まるセカンドのポジション争いに、三森は脚力を武器にして挑んでいく。

(飯田航平 / Kohei Iida)