6月下旬から右肩痛でリハビリ組 高田知季コーチが語る具体的な状態
黙々と、自分自身と向き合っている。ソフトバンクの正木智也外野手は、右肩痛で6月下旬からリハビリ組での調整が続いている。実戦から離れて2か月近くが経とうとしており、現在の具体的な状態は……。高田知季リハビリ担当コーチ(野手)が「現状、もうちょっとかかる」と語った言葉の真意に迫った。
正木は今季、1軍の開幕スタメンを掴み、藤本博史監督からも「50打席与える」と期待をかけられていた。しかし、18打席に立っても安打が出ず、4月19日に登録抹消に。6月3日に再登録され、翌4日の広島戦(マツダスタジアム)で今季初安打を放ったものの、2週間も経たない15日には再び抹消された。1軍では15試合に出場して打率.038にとどまっている。
現在はバッティング練習を再開し、順調にリハビリメニューを消化している。まだ難があるのはスローイング。右肩の怪我について高田コーチは「(デリケートかどうかは)部位にもよるんです。どういう内容の怪我なのか」と言い、慎重な調整を重ねているところだ。
7月下旬にキャッチボールを再開したばかりで、高田コーチは「50、60メートルくらいは投げられているんですけど」と説明。一方で「試合で、ってなるともう少しかかると思います。まだ考えていないです。もう少し状態が上がってからですね」とキッパリ言った。外野手である以上「点差が縮まって、(走者の)タッチアップで(中継を介さず)1人で投げてほしい時もあると思う」。バックホームなどは避けられないプレーなだけに、肩の回復は正木にとっても重要な要素だ。本人のもどかしい思いを代弁するように、高田コーチが言う。
「投げ方が悪かったのか、かばっていたのか、それはわからないですけど。痛いなりにずっとやっていたのもあって。バッティングもランニングもできているので、あとはスローさえできれば。“守備の人”でもないと思うので、ある程度メドが立てば試合に出ることを考えていきたいですけど。肩さえ良ければ、あとは打席感ですから」
開幕直後は、1安打を生む苦しみに直面。当時の心境について正木は「最初の1本が出るまでは力みももちろん、焦りもあった」と語っていた。結果が出ずに苦しんでいる中でも、前だけを見てバットを振ってきたはずだ。もう一度、1軍を目指そうというところで、痛めてしまった右肩。状態はもちろん、取り組む姿勢は高田コーチの目にはどう映っているのか。
「毎日話はしていますけど、基本的に表には出さないタイプなので。でも練習も真面目にやっていますし、今も終わって、素振りをしたりして。姿を見ていたら、前向きに捉えているとは思っています。メニューは課しますけど、ルーキーでもないですし。そこ(自分のメニュー)から先のことは制限がないのならやってもらっても大丈夫な選手かなと」
決められたメニューを消化すると、自らバットを持って鏡の前で何度も素振りを繰り返す日も少なくない。今季が大卒2年目。首脳陣から指示を踏まえつつ、自分で考えて時間を過ごしている。何をしたらいいのかわからないような選手ではなく、リハビリ中だとしても“自立”して動いているのが正木の良さだと高田コーチは語る。「ある程度、任せるところは任せています」と、改めて信頼を寄せていた。
(竹村岳 / Gaku Takemura)