近藤健介が感じた他球団の“打倒・ホークス”という雰囲気…西田哲朗広報が語る4月の戦い

ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:竹村岳】
ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:竹村岳】

WBC組の復帰で「気持ちが1つになっていたのは感じました」

 ホークスは3月、4月を12勝10敗で終えた。開幕5連勝で好発進を切ったかと思えば、5連敗で一気にBクラスにまで落ちた時期もあった。西田哲朗広報はここまでの1か月を見守り「オープン戦の成績が良くなかった(7勝10敗1分)ので、正直、みんな焦りはあったと思います」と雰囲気を代弁する。

 空気を変えたのは、3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加していた4選手の復帰だった。3月31日のロッテとの開幕戦(PayPayドーム)には近藤健介外野手、牧原大成内野手、甲斐拓也捕手が先発出場し、周東佑京内野手も途中出場した。「初戦を勝って、ホークスは毎年開幕から連勝を飾るので、気持ちが1つになっていたのは感じました」と戦いを振り返る。ようやく選手が揃い、雰囲気もグッと良くなった。

 今季のチームには、近藤や嶺井博希捕手、ロベルト・オスナ投手ら新戦力が加入した。3年ぶりのV奪回のために、新戦力と既存戦力を融合させなければならない新しい1年が始まった。西田広報が「近ちゃん(近藤)が面白いこと言っていたのが……」と切り出したのは、常勝軍団だからこそ感じる、他球団からの“包囲網”だった。

「ホークスはいつも下馬評が高いチームじゃないですか。ホークスを倒さないと、優勝はないというような見方をされている。近ちゃんの言葉に、それが全部詰まっているような一言があって……。『ホークスに対するピッチャーの投球が、レベルが高い』と。相手の投げる球から、そう感じると言っていました」

 他球団から移籍してきたからこそ分かる、ホークスへの“包囲網”だ。具体的には、4月8日の西武戦(宮崎)。相手先発の高橋光成投手に、8回無失点の好投を許した。西田広報は、WBCでも中心選手として世界一に貢献した近藤の言葉に驚いたという。「超一流のバッターでも、そう感じるくらいのものがあるんやな、全然違うんやなって思いました。他球団から来ないと感じられないこと」と続けた。

 DeNAから移籍してきた嶺井も、同様に古巣とホークスの違いを感じているという。連敗をした時の空気が違うというのだ。西田広報も「4連敗、5連敗とかしたら、最下位になったくらいの雰囲気になる」と、チーム内部からの目で語る。「なんでホークスは、ちょっと連敗するとこんなに重みを感じるんだろう」と話していたという嶺井は、まさに今、常勝軍団の一員になろうとしているところだ。

 西田広報も現役時代、2017年オフに楽天からトレードでホークスにやってきた。1つの勝敗で順位が変わるような状況では特に、大きなプレッシャーがかかる。「ちょっと連敗して首位から落ちたらチームが危機的状況、みたいな。マスコミの方々もファンの方々も『ホークスどうした!?』ってなるじゃないですか」と自らの経験から口にする。常に優勝を期待され、1勝にどこまでもこだわるからこそ、ホークスには独特の雰囲気がある。

 これは、常にチームに緊張感が漂っている証拠。西田広報も「逆に言えば、その感覚が鈍ったらダメだと思います」と言い切る。今は裏方の広報としてチームを支えようとしている。どんな時でも同じ「必勝」を貫くホークスなら、5月から必ずギアを上げていける。

(竹村岳 / Gaku Takemura)