「本当に助けになった」苦悩の正木智也の支えになった“ある人物”からのLINE

ソフトバンク・正木智也【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・正木智也【写真:藤浦一都】

1軍で18打席ノーヒットが続き2軍降格に「本当に感謝したい」

 先輩の気遣いに感謝の思いが募った。19日にベルーナドームで行われた西武戦前に出場選手登録を抹消されたソフトバンクの正木智也外野手。その姿は21日、山口・由宇球場にあった。ウエスタン・リーグで広島と戦う2軍に合流し、早速、「1番・右翼」で再スタートを切った。

 開幕スタメンの座を掴みながらも、なかなかヒットが出ずに苦しんだ正木。藤本博史監督は「50打席」のチャンスを与えるとしていたが、18打席ノーヒットが続く極度の不振。50打席を待たずに2軍落ちを言い渡され「もうそれは当たり前だなと思いましたし、チャンスをもらった中で結果が出なかったってのは本当に悔しかったです」と受け止めた。

 2軍に合流して最初の試合となったこの日の広島戦。正木は第1打席でいきなり左前にヒットを放った。これが今季の“公式戦初安打”。2軍とはいえ、欲していた「H」ランプをようやく灯し「ヒットが出ていなかったので、そこの部分は嬉しい。これから積み重ねていきたい」と、正直に安堵の言葉を口にしていた。

 苦しんだ3週間で、正木が感謝する人物がいた。「本当にありがたかったですし、本当に助けになりました」。苦悩する正木の携帯に届いたLINE。送り主はチームの先輩でもあり、慶大の先輩でもある柳町達外野手だった。

 無安打が続く中で先輩から届いたLINEの内容について正木は「1軍、プロ野球を経験しているな、みたいに言われました」と明かす。多くの選手がぶち当たるプロ野球の、1軍の壁。「たつるさん」と慕う2学年上の柳町も経験した苦悩。正木の苦しみが分かるからこその言葉だった。

「いろいろ慰めてもらいましたし、そこは本当に助けになったんで、これからもいろいろ相談していきたいなと思います。ライバルでもあるので、そこは負けないようにもしたいなとも思います。でも、まずは本当に感謝したいと思います」

 この日の試合前には円陣で声出しも務め、その柳町から「重みが違う」といじられていた正木。先輩からの深い愛を感じつつ、ファームで再スタートを切った。

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)