今季から加入したロベルト・オスナ投手…OP戦は8試合に登板して被安打は1本
ホークスの山田雄大チーフ通訳は2007年に入団し、今季で17年目を迎えた。圧倒的なリーダーシップと存在感から、印象に残っている外国人選手に挙げたのはデニス・サファテ氏。「人間的にもすごかったですし、学ぶことも多かったです」と、ともに過ごした日々を振り返る。
サファテ氏は2017年に、シーズン54セーブの日本記録を打ち立てた。リーグMVPに輝き、大黒柱として日本一に貢献した。その一方で、ファンが「ホークスの守護神」に求めるものが、非常に高くなったと山田通訳は感じ取っている。それも数字、リーダーシップ、マウンドにおける圧倒感など、さまざまな足跡をサファテが残したからだ。
サファテが“聖域”にしたホークスの守護神。その背中が大きすぎるからこそ、山田通訳は「あの姿を求めるのはなかなか難しいんじゃないかと思います」と言う。サファテに続く守護神となったのは森唯斗投手で、2018年からの3シーズンで104セーブを挙げた。“サファテの次”という重圧に負けず「そういう意味でも森はすごかった。みんなが思っているよりも、すごかったと僕は思っています」と振り返る。
そして現在、その域に達する「可能性がある」という右腕が、新戦力のロベルト・オスナ投手だ。
メジャーリーグでセーブ王に輝いた実績もある。山田通訳もオスナの姿にはサファテの影を感じており「考え方とか、メジャーリーグのクローザーですから、近いものがあると思います」と見ている。オスナはスペイン語圏のメキシコ出身ではあるが「英語もペラペラ」だそう。山田通訳にとって、サファテと重なるのはオスナのどんな部分なのだろうか。
「話していることを聞くと、基本的にこの人たちは野球が好きなんだなっていうのと、彼(オスナ)はまだ来てすぐですけど、このチームで勝ちたいんだろうなっていうところですね。『自分さえ良ければいい』って感じではないと思うんです。サファテは『みんなを引っ張って俺が優勝させるんだ』というくらいのやつだったので。オスナもそうなんじゃないかなと現時点では思っています」
オスナは春季キャンプから甲斐野央投手に技術面の指導をし、石川柊太投手にはカットボールを教えた。すでにチームメートに溶け込み、輪の中心になろうとしている。その実力は斉藤和巳投手コーチも「サファテに匹敵する」と表現する。かつて、若かったブルペン陣がサファテの背中を見たように、山田通訳は「(オスナも中心に)なっていくんじゃないですかね。なると思います」と期待を寄せている。
オスナは1月の入団会見で「自分の中でも54番は大事な数字。最初にMLBでも付けた番号なので、その54という数字を超えていけるように。そういうモチベーションでやっています」。サファテの54セーブを超えていくと誓っていた。“聖域”となったホークスの守護神も、オスナならきっと新しい時代を築いていける。
(竹村岳 / Gaku Takemura)