「肩、肘は消耗品」 好投の石川柊太、大先輩からの助言から生まれた意識の変化

ソフトバンク・石川柊太【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・石川柊太【写真:藤浦一都】

ヤクルトとのオープン戦で石川柊太が先発…3回無失点の好投

 ソフトバンクの石川柊太投手が7日、ヤクルトとのオープン戦(PayPayドーム)で先発し、3回無失点に抑えた。昨季にセ・リーグ王者となったヤクルト打線を封じ「アップから取り組み方を変えた」と見事に結果へとつなげてみせた。

 1回は3者凡退。2回1死からサンタナに遊撃への内野安打を許したが、浜田と内山を連続三振に斬った。3回にも武岡、丸山和から三振を奪うなど充実の内容を「課題を持ってやりましたけど、内容的にも手応えはあった部分がありました。有意義な登板だったと思います」と振り返った。

「変えた」という試合前の準備。昨季までは登板日も投手陣のアップに参加して、足並みを揃えて試合へと入っていた。この日はアップには入らずに単独で行動。自ら考えて準備を重ねた。今までなら全体練習中と登板前に2回あったキャッチボールも、試合直前の1回となった。肩だけでなく、2度作る必要があった気持ちの波にも「(1回だと)ゆっくり、じわっといけるので、それがめっちゃいいです」と好感触だ。きっかけは大先輩からのアドバイスだった。

「和田さんに『初回、なんでいつも3者連続三振なんですか?』って聞いたら『アップを変えた』って言っていて。冗談まじりですけど、入りが良くなると聞いて。去年からやりたかったんですけど、シーズン途中に変えるのは不安だったので。今年から試しで、それがいい感じに自分の中で時間が取れたりしたので、続けていこうと思います」

 ただ球数を減らすのではなくて、求めるのは“質”の向上だった。試合の中で投げながら修正しようと思えば、どうしても球数が必要となってしまう。「良くない時は良くないので。体が良くないのに、投げて良くなるわけがない」。大前提として必要だというのが、最良のコンディションでマウンドに上がること。試合のパフォーマンスにより特化するために変えたのが、試合前の取り組みだ。

「質が良ければどれだけ投げても。オスナとかめちゃくちゃブルペンでも投げる量は少ない。肩、肘は消耗品なので。どれだけ質を高く、球数を減らせるかだと思います」

 球種的に手応えを感じたのがフォークだった。春季キャンプ中に近藤健介外野手に「フォークを待っていなくても対応できちゃう」と言われたという。カーブが代名詞である右腕だが通算1016安打のヒットマンからの助言で、フォークへの課題意識を強めて取り組んできた。「こういう感じで投げていけたらいいねというフォークがあったので、引き続きやっていきたい部分です」と収穫に感じていた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)