大関が開幕投手になった理由…“野球以外”を首脳陣は見ていた「思惑はみんな一致」

ソフトバンク・斎藤学投手コーチ【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・斎藤学投手コーチ【写真:福谷佑介】

25日の侍ジャパンとの強化試合に大関友久投手が先発する

 ソフトバンクは24日、宮崎市内の生目の杜運動公園で投手練習を行った。25日にひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われる強化試合「カーネクスト侍ジャパンシリーズ2023 宮崎」で先発するのは、シーズンの開幕投手を託されている大関友久投手。斎藤学投手コーチが取材に応じた。一問一答は以下の通り。

――開幕投手を託した大関が先発する。
「今回、テーマがこうだというのがあって。それをしてもいいですかという話の中で、それはこの試合に限らずに開幕までずっとテーマを1つずつ消化した上で、開幕を迎える。そのための準備の1つなので、遠慮なくやっていいよ、と。もちろん初めての経験なので、多少の緊張感があるのかなとは思いつつ、全てを大関に、責任を押し付けるわけではないので。みんなで戦っていくわけなので。そういう気持ちも忘れずにやってくれたら、プラスにしか捉えられないかなと思いますけど」

――彼は出力をテーマにキャンプを過ごしてきた。いい相手で試すことができる。
「若干、遠慮も出ちゃうと思いますよ。どうしてもね、これは仕方がない。その中でどうやって抑えていくのか、あいつも今言っていたんですけど。やってくれるんじゃないかなと思います」

――開幕投手に決まる前後で、彼の変化は。
「特に表情は変わらないですし、練習はもう黙々とやっていくタイプなので。そういうことでの変化はあまり感じないですね」

――斎藤学投手コーチの視点で、彼に開幕投手を託した理由を教えてください。
「野球はもちろん、それ以外のところが僕は重要な1つだと思います。取り組み姿勢だったり、私生活も含めて。あいつの場合、24時間のほとんどを野球のことを考えながら生活をしている。去年病気もあって、体調管理も見直した。全てを野球のために費やしていると僕らも見えるんです」

「その中で誰かを任せるとなった時に、やっぱりどうしても、チームの目標としてはエースを。千賀がいなくなって、誰か若い選手の中からチームを引っ張ってくれる、先頭に立ってくれる選手を、誰か出てこないかなという中で大関が一番だという判断で僕は推していきました」

――斎藤学投手コーチのイチオシだったんですか。
「イチオシと言われると困るんだけど(笑)。でもみんな、そうやって大関のことは見ているので。そういう面では、やめようというあれ(意見)はないですね。(藤井)皓哉もいるし、もちろん石川や東浜の名前も挙がりましたけど。次の世代の中で、誰がトップに立つんやという中で、今年の開幕を迎えたい思惑はみんな一致しているんじゃないかなと思いますけどね」

――侍ジャパンとの試合の位置付けは。
「意味合いは違いますよね。仮にも実績のある投手に対して、今日打たれたからどうのこうのというのはないです。調整という面では任せているので。ただ今年のキャンプの中で、テーマは競争だったので。脱落していく人間は必ず出るし、ローテーションも数に限りはあるので。今の人数のままいくわけにはいかないですし。だからそういう面での競争意識は、その気持ちは最近では一番強いです」

「今まではどうしても、千賀という投手がいて。中心に、ローテーションも全て決まっていたんですけど。それを一から、全部やり直しているというか。競争させている状況なので。その中で勝ち残った6人がローテーションで回るんじゃないかなと思っています」

――競争における絞り込みに関しては。
「3月の1回目、入ってから。向こう(福岡)に帰ってからはそのくらいになるのかなと。現状の中で、ここまでの結果を踏まえてそういうところ(当落線上)にいる選手もいますし。昨日の(高橋)礼のように挽回してきた選手もいるので。そこはもう一回、3イニング、4イニングは全員にチャンスをあげられたらとは思っています」

――投手コーチにとっても、千賀滉大投手(メッツ)がいなくなった最初の年というのは意味を持っている。
「変な意味合いでは取っていないですね。むしろ効果はいい方に出るんじゃないかな。いれば頼るし、それは僕らもそうですよね。あいつならなんとかしてくれるんじゃないかという中でローテーションを組んでしまったり。勝ち星を計算してしまっていたので。それをもう一回、今度は全員で1個ずつ勝っていこうと。その中で飛び抜けてくれる選手が1人、2人出てくれる。それを回していければ。シーズンは長いので、色々あるとは思いつつ、そうやっていけたらと思います」

――絶対に勝たないといけない試合において、先発を託す選手を今年は考えないといけない。
「でも、それは143試合という長丁場で考えれば、今どうのこうのではなくて、前半戦に見極めながら使っていって。その中心に今の時点では大関がいて。片面では石川を。去年も悔しい思いをしていると思うので。今年の状態を維持していければ、(中心になる投手が)2つできるんじゃないかと予想してやっています」

――昨季の終盤で大関は大事な場面でも投げていただけに経験も少しできている。
「それはありますよね。ああいう大きな病気をして、僕らはシーズン(2022年)は無理させまいという中で見守っていたんですけど。本人は絶対に投げるんだと。なんとか復帰して、チームのために最後どんな形でもいいから貢献したいという思いがほぼ全員に伝わるくらいまで状態を上げてくれて。気持ちを無下にというか、やめとけとは言い切れないくらい大関に押されたので。それは十分に感じますね」

――そんなすごい姿勢、気持ちだったんですか。
「そうですね。何がなんでもという気持ちが、多分ファームの人たち、監督コーチのほぼ全員が『使ってください』と。使ってあげないと、というくらいの状況にいたので。僕たちは、それを受け止めた形で。本人もきて、頑張ってくれたので。そういう状況でした」

(竹村岳 / Gaku Takemura)