リーグ優勝へのマジックを8にしたパ・リーグ首位のソフトバンク。19日までのオリックスとの3連戦では3連敗を喫したものの、20日の日本ハム戦には勝利し、首位の座を死守した。地獄の11連戦を7勝4敗と勝ち越して終え、残る9試合で2年ぶりの優勝を掴み取りにいく。
3連敗を喫したオリックス戦で期待を寄せられながらも、悔しい思いをした若鷹がいる。“鷹のロマン砲”ことリチャード内野手だ。リチャードは9月18日に約1か月ぶりに1軍に昇格。この日、先発だったオリックスの宮城大弥投手と今季4打数4安打という相性の良さも買われての昇格だったが、結果は宮城の前に2打席連続三振に倒れた。
山﨑颯との対戦だった第3打席も空振り三振に倒れた。19日の試合もスタメンで起用されたものの、2打席凡退。6回の打席で代打を送られ、翌20日に出場選手登録を抹消になった。これで今季5度目の登録抹消。期待されながらも、なかなかチャンスを掴めない、というのは今回も同様だった。
ただ、これまでリチャードを見てきた小久保裕紀2軍監督は、1軍の打席の中でもこれまでとの違いを感じ取っていた。「そりゃ呼ばれてすぐ結果出るのが一番でしょうけど、首位攻防戦でパッと呼ばれてパッと打てるほどプロ野球の世界は甘くないんで」と言いつつも「ファームでやってきたことは間違っていないと思う」と語った。
プロ野球の、しかも1軍の世界は甘くない。小久保2軍監督はこれまでも口を酸っぱくして言ってきた。当然、オリックスバッテリーも、4打数4安打を打たれている相手とあれば、徹底的に研究し弱点を突いてくるというもの。まだまだ1軍での経験の乏しいリチャードが、これを打ち破ることは容易いことではない。
「当然、バッテリーも研究してくる訳ですし、最後の(山﨑颯の)150キロを超えた真っ直ぐ高めの空振り、あれはしょうがないです。今の彼の実力じゃあそこは打てないです。それを打てると思っては(1軍に)行ってないんで。宮城を打つために、左投手を打つために行った。それを打てなかったのは当然悔しいでしょう。まぁ、数少ないチャンスをモノにしないと上がれないっていう厳しい中では、今回はそれが出せなかったということ」
こう語る小久保2軍監督だが、誰よりもリチャードの変化、成長を感じているのも指揮官なのだ。1軍再昇格直前はウエスタン・リーグの4試合で4本塁打。ボールを体の近くまで呼び込み、押し込んで打ち返すという、今取り組んでいる課題が成果となって現れ始めていた。
「彼も自分の中での変化、打席の中での変化は感じられているでしょう。だから、いいことは続けて欲しい。彼の場合、結果が出ないと、すぐに蓄積してきたことを全部なかったことにしてしまう性格。それはしない方がいいと思うという話はしました。いいものはいいとして続けるってことですね」
結果は出なかったものの、打席の中での変化を感じさせていたリチャード。再びファームで研鑽の日々に戻る。いつの日か、そのとてつもないポテンシャルを開花させることを、誰もが待ち望んでいる。