柳田離脱で3番はどうなる? 首脳陣が挙げた“代役候補”…主力不在でも「変えたくない」部分

自打球が足に当たり苦悶の表情を浮かべる柳田悠岐【写真:イワモトアキト】
自打球が足に当たり苦悶の表情を浮かべる柳田悠岐【写真:イワモトアキト】

村上打撃コーチが明かす…ダウンズ抜擢の理由は?

 引き分けを挟みながら、5連勝と波に乗るソフトバンク。12日のロッテ戦(ZOZOマリン)も8-0と大勝した。勝率5割に戻したが、心配なニュースも飛び込んできた。柳田悠岐外野手が船橋市内の病院で検査を受け、「右脛骨骨挫傷」と診断されたことが発表された。中心だった男が抜け、打線はこれからどのように組まれていくのか。「絶対に変えたくない」部分を、首脳陣が語った。

 11日の同戦、6回1死だった。柳田は右足に自打球を当て、その場に倒れ込んだ。治療の後にプレー続行したが、遊直を放った際には片足で“ケンケン”のような状態に。ダグアウトに姿を消し、試合中に球場を後にして病院に向かった。一夜明け、出場選手登録を抹消された。

 自打球による負傷。小久保監督は「弾丸と一緒」と表現する。柳田が痛めたのは脛骨だが、腓骨にまでその影響は及ぶというのだ。指揮官も現役時代に経験があるといい「“出口側”の方も痛いのよ。その後も、治っているけど痛いままだった。完治していないまま(プレーしていた)だったし。柳田も、打球が当たって3、4メートルしかボールが転がらないのを見て『やばい』と思った」と振り返った。

 この日、3番に入ったのはジーター・ダウンズ内野手だった。1安打3出塁で起用に応え、チームは8点を奪った。村上隆行打撃コーチは「(打順を)入れていって『3番いないよな』というのが正直なところでした」と本音を明かす。選球眼に優れる堅実な助っ人を入れたことには「4番の調子がいいことを考えると、出塁できる人。繋ぐことができると考えて、ジーターでいきました。(相手先発が)左投手というのもありました」と明かした。

 1番に入っているのは、13試合で19安打を放っている周東佑京内野手。山川穂高内野手も4本塁打と、2人の前後が鍵になることは間違いない。好調という意味では正木智也外野手も頭に浮かぶが、3番に入れる選択肢はなかったと村上コーチは語った。

「そこは変えたくないです。せっかく4番、5番、6番という繋がりを作っているのに、それを崩したら全部が崩れてしまう。基本、どういう繋がりを作るのかというところなので。そこは変えちゃダメだと思うんです。バラバラになってしまうし、“その場しのぎ”ではいけないので」

小久保裕紀監督【写真:イワモトアキト】
小久保裕紀監督【写真:イワモトアキト】

小久保監督も“苦肉の策”…「本来それはしたくない」

 周東の出塁と、山川の長打が打線全体を支えている。流れの中で5番の正木、6番に今宮健太内野手を入れることは「変えないようにしています」と続けた。「攻撃のパターンそのものを変えるなら、打順を考えないといけないですけど。先々まで含めながら、どうするかということなので」。これからも好調な選手が中心となり、どんどん得点を生み出してもらうことは変わらない。

 昨年5月31日に柳田が長期離脱した後、3番に座ったのは栗原陵矢内野手だった。この日、オリックスとの2軍戦(京セラドーム)で実戦復帰を果たしたが、1軍昇格はもう少し先になるだろう。近藤健介外野手も欠いていることを考えれば、昨年と状況は全く違う。村上コーチは「みんな頑張ってくれている。穴を埋めるのではなくて、それぞれが自分の仕事をきっちりやってくれているのが今の結果。最初は苦しんでいましたけど、みんなしっかり準備をしてくれている」と信頼を寄せた。

「いいバッターを入れると思います」と、今後も3番には“繋ぎ”を求めることになりそう。中村晃外野手や柳町達外野手ら、まだまだ選択肢は多いはずだ。小久保監督も「相手ピッチャーによっても変わってくると思います。本来それはしたくないんですけど、やらざるをえないので。日替わりのようになると思います」と話した。柳田の競技復帰の見込みは、5月上旬とされている。チャンスを奪い合いながら、全員で白星を掴んでいく。

(竹村岳 / Gaku Takemura)