ソトに浴びた同点弾「ファンも嫌でしょうし」
悔やんでも悔やみきれない1球だった。29日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)。柳田悠岐外野手の逆転3ランが飛び出した直後の6回、マウンドに上がったのは杉山一樹投手だった。1死で迎えたソトをフォーク4球でカウント2-2に持っていったが、5球目の直球を捉えられた打球は無情にも左中間スタンドへ。痛恨の同点ソロに右腕は思わず顔をしかめた。
「チームが逆転した勢いを僕がなくしてしまった。昨日負けて、今日勝つぞという思いが球場からも伝わってきていた中で、あれ(被弾)はファンの方からしても嫌でしょうし。1点リードの中でマウンドに送ってもらった首脳陣の方にも申し訳なかったです」
なんとか後続は抑え、同点のままマウンドを降りた。ベンチに戻ると、柳田がすっと寄り添ってくれた。そこで掛けれられた言葉は一流打者だからこその“観察眼”と、チームの大黒柱ならではの優しさから生まれたものだった。杉山はゆっくりと口を開いた。
「あそこはフォークだったんじゃないの? って。今宮(健太内野手)さんからもそう言われました」
同学年左腕への申し訳なさ「やっちゃいけない」
杉山自身も引っかかった部分ではあった。一発を浴びる直前まで、ソトはフォークに合っていない様子だった。「僕の選択ミスです。海野のサインを受け取ってから僕が投げているので。なぜ納得してしまったのか……」。
昨季は50試合に登板し、4勝14ホールド1セーブ、防御率1.61をマーク。主要な項目は全てキャリアハイとなる成績を上げるなど飛躍の1年となった。今季はそれを上回る「防御率0点台」と高い目標を掲げて臨んでいる。出鼻をくじかれた格好だが、下を向いてばかりはいられない。「次、次!」。柳田から掛けられた短くも力強い言葉にも背中を押された。
後悔はもう1つあった。「去年も大関が投げた後に点を取られて勝ちを消したこともあったので。津森(宥紀投手)もそうですけど、同級生の勝ちを消してしまうことが多かったので。中継ぎとしてあれは一番やっちゃいけないこと」。
この日先発した大関友久投手は苦しみながら5回3失点で試合を作った。柳田の逆転弾で勝利投手の権利がついていただけに、あの一発がなければ白星を届けることができたかもしれない……。杉山はベンチで大関に謝ったことも明かした。
「また同じような場面で投げさせてもらえるように、これから結果を残し続けていかないと。そうしないと悔しさは消えていかない。終わったことは取り戻せないので」。柳田からの温かな言葉を受け取った右腕。次こそ自らの投球で多くの人を笑顔にしてみせる。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)