――野球部以外での友達ができなかった?
「『こいつスーツ着てるやん』って。スーツやなくて制服やけどなって心の中で思っていましたけど、『制服やけど』とは言えへんから、片身狭くスーツということにしていました」
――授業もブレザーで行かないといけない野球部の規則。
「そうなんですよ。下級生はブレザー着ないといけないルールがあったんですよ。張り切って1人だけ、ガチガチのスーツで毎日登校してるやつ。サイドバッグ持って」
――法学部の学生からはイタイ目で見られていた?
「いや制服なんですけど、周りのみんなは制服って認識してないからスーツだと思っているんです。だから僕だけめっちゃ浮いていました。スポーツ推薦だったらみんなと行けたんですけど、僕が野球部1人だけの学部だったから。やっと友達ができて、やっと説明できたっていう。周りに聞いてみたら、みんな『スーツやと思ってた』って言ってました。みんな『こいつ力んでる』みたいな。僕も周りからのイタイ視線を感じていたんですけど、何か分からなくて。半年後にようやく謎が解けました」
――これから大学に入学するであろうホークスファンにアドバイスを送るなら?
「初日はスーツで行け!」
――女性ファンに対しては?
「女性もリクルートスーツで行け! そしたら……浮きます」
――みんな浮きたくないんじゃないですか?
「浮きたい人向けに僕は送っています。目立ちたい人は、スーツを着ていったら冷たい目立ち方します。新生活の思い出はそれくらいですね。結構鮮明に残っていますね。やっぱり恥ずかしかったですね、周りの目を感じながら登校するのは。しかも1人で登校してますから」
――指定校推薦で東洋大に行きたい思っていた?
「いや、思ってないです。高校の監督が『指定校でもお前はやれるんじゃないか』みたいな感じで推薦していただきました」
――野球推薦ではないことに驚きました。
「しかも法学部なので、めっちゃ頭いいと思われるんですよ。『こいつ弁護士目指してんねやな』みたいな。いや、一番頭悪い。何ひとつ分からないんですよ」
――先輩から過去の試験内容を教えてもらったりは?
「法学部の先輩がいないです」
――結構大変だったのでは?
「はい。誰ひとりいなかったから」
――必死に勉強した?
「たまたま最初にできた友達が、1、2位を争う頭の良さで。全部その友達に頼んでいました。大変でしたね」
――最近は春の気候に。最初に思い出すのはそのエピソードですか?
「いや、もう1個ありますよ。ベイスターズに入って最初まだ誰とも会ってない時に、自己紹介ムービーを撮りたいみたいなことを広報の人に言われまして。モノマネ得意って言っていたので、ベイスターズの選手のモノマネをしてほしいと言われました。でも、先輩たちとまだ喋ってもいないのにできないですって言ったら、広報の方に『俺から先に伝えておくから大丈夫』って言われたんですよ。で、クリーンアップやったんすよ。『ロペス、宮崎、筒香』って。えぐいなと思いつつも、ちょっと控えめにやったんですけど、それがインスタグラムに載ったんです。そしたらキャンプの最初の投手会の時に、戸柱さんに『お前マジであんま調子乗んなよ』ってマジで怒られました。何が言いたいかというと、“最初は先輩のことを信じるな”ということです。大丈夫と言われても、信じちゃいけない」
――楽しい食事の場なのに怒られた?
「楽しい食事の後に呼ばれて『お前モノマネやっとったやろ。お前絶対やるなよ。調子乗るなお前』って。『大人しくしとけ』って」
――それを解禁できたのはいつ?
「徐々にですね。ちょっとずつ解禁していきました」
――上茶谷大河投手というキャラを少しづつ出していった?
「抑えきれなくて。どうしても抑えきれずに『大人しくしとけ』って言われたんですけど、大人しくできなかった。新生活でワクワクするのもいいけど、先輩の言葉に騙されてはいけない。そして初日はスーツで行け!」