“最強の3人”の後ろで「必ずチャンスが…」 「5番・正木」の重責、示した代役返上の覚悟

正木智也【写真:冨田成美】
正木智也【写真:冨田成美】

2番近藤、3番柳田、4番山川の後を打つ重圧に打ち勝てるか

 2025年型打線の輪郭がくっきりと浮かんだ。18日の中日戦後、小久保裕紀監督は言い切った。「(打線の)並びはおそらくこの形でいくと思うので。とりあえずこれでくると思いますよ、村上(隆行打撃)コーチは」。近藤健介外野手、柳田悠岐外野手、山川穂高内野手を2、3、4番に据える破壊力抜群のラインナップ。その後を任されることになりそうなのが正木智也外野手だ。

 首脳陣は元々、栗原陵矢内野手を5番に置く青写真を描いていた。指揮官は5日のヤクルト戦後、「栗原が一皮剥けて、この打順に落ち着くかどうかは本人次第。それは話をして、プレッシャーをかけておきました」と明かしていたが、栗原は右脇腹痛で戦線離脱。“代役”として白羽の矢が立ったのが正木だった。

 昨季終盤に近藤が右足首捻挫で離脱した際にも5番を任された正木にとって、ある意味で似た状況ともいえる。それでも、本人の心構えはまるで違う。勝負の年と定める2025年、25歳の覚悟とは——。

「やっぱり5番で使ってもらっているので、結果を出したいなと思っていますし、まだまだ今の成績では物足りないので。(オープン戦は)残り4試合ですけど、もっとアピールしていきたいなと思います」

 栗原が負傷した11日の巨人戦後、6試合連続で5番起用されている正木。打率こそ.209だが、2本塁打をマーク。オープン戦7打点は12球団トップタイの数字だ。それでも、2〜4番に座る“オールスター級”のメンバーを考えると、自らに求める水準はどうしても高くなる。

 首脳陣も2025年型打線において5番打者がキーポイントと睨んでいる。村上打撃コーチは「必ずチャンスがそこに回ってくると思うんですよ。だからメンタル的にもかなりきつくなるはずなので。去年は5番を近ちゃんがやってくれたけど、離脱した後に座った正木はきつかったでしょうけど。それでも、その経験がやっぱり今生きていると思います」と分析。「正木が今、状態が良い中で、つながり的にはいい感じにはなってるかな」と大きな期待を込めた。

 昨季終盤に“代役5番”を任された当初は思うように結果を残せず、周東佑京内野手から「近さんの代わりなんて務まるわけないんだから」と声をかけられたこともあった。文字通り、強力打線の真ん中に座る重圧は嫌というほど味わった。それが正木を一回り成長させたことも事実だ。

「去年もそんな感じだったので。そこはいい意味で慣れもありますし。本当に自分のことをやるだけなのかなと。そこは同じかなと思います。結果を出し続ければ、(打順が)変わることもないと思いますし、開幕してからも毎日アピールするつもりでやっていきたいなと思います」。

 落ち着いた口調からは、今年こそ“代役”の2文字を取り去るという覚悟が感じ取れた。「5番・正木」がプレッシャーに打ち勝ってこそ、真の主力となれる。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)