栗原陵矢に起きた“想定外”「こんなに長引くとは…」 首脳陣が迫られた苦渋の決断

11日に行われた巨人とのオープン戦で負傷交代した栗原陵矢【写真:冨田成美】
11日に行われた巨人とのオープン戦で負傷交代した栗原陵矢【写真:冨田成美】

小久保監督はきっぱり「いないものと思っています」

 背番号24抜きで「3・28」を迎えることが濃厚となった。18日の中日戦前に取材対応した小久保裕紀監督は、右脇腹を痛めている栗原陵矢内野手の現状をこう説明した。「開幕はいないものと思っています。これ以上ひどくなるのは嫌なので。リハビリから立ち上げてもらいます。ファームで何試合かは出てもらうかもしれないです」。

 指揮官の言葉は重かった。11日の巨人戦で三塁方向へのファウルフライを追いかけ、フェンスに激突した栗原。翌12日からはペイペイドームで別メニュー調整を続け、早期復帰の道を探ったが、首脳陣はリハビリ組への移管を決断した。

 昨季は140試合に出場し、自身3年ぶりとなる20本塁打をマーク。三塁部門でベストナインとゴールデン・グラブ賞に選出されるなど、主力中の主力と言える存在だ。「開幕不在」がチームにとって大きな痛手になることは間違いない。首脳陣が明かした決断の理由とは――。

「練習に合流して、2軍の試合に出られるっていうくらいのレベルまで(回復が)きていないので。開幕に無理して合わせるということはないと思います。もちろん痛いのは痛いですよ。(1軍に)いてくれたら、ものすごく助かるのは間違いない。かといって、悪化しても困るので」

 そう語ったのは奈良原浩ヘッドコーチだ。チームとして栗原は必要不可欠な存在。開幕戦のメンバーに名を連ねてほしいという思いと、無理をさせることでさらに故障が悪化するリスクを天秤にかけ、苦渋の選択を下した格好だ。

 現時点での復帰時期はまだ不透明。栗原にアクシデントが起こった瞬間から開幕不在を覚悟していたのか尋ねると、奈良原ヘッドコーチは本音を明かした。

「正直に言えば、こんなに長引くとは思っていなかったですね。それは痛めたのが(古傷の)左膝じゃなかったから。膝だったら時間がかかりそうだなとは思っていたけど、場所が違ったので。直接そこ(右脇腹)に当たったわけじゃないから長引かないのかなとは思っていたんですけど……」

 2022年に前十字靱帯断裂の大怪我を追った左膝に問題がなかったことは安心材料となった一方で、右脇腹の痛みが引かなかったのは、首脳陣にとって“想定外”だった。一方で、奈良原ヘッドコーチはこうも口にする。「これはチャンスですから。彼にとってはね」。

“彼”の言葉がさすのはリチャード内野手だ。12日以降のオープン戦は6試合全て三塁でスタメン出場が続いている。12、13日の巨人戦では2試合連続で本塁打を放っており、この機を逃すまいとアピールを続けている。一日も早い栗原の復帰とともに、リチャードの成長も願う。それが首脳陣の本音だろう。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)