モイネロが求める“正捕手の条件” 熾烈な争いの中…海野に与えたヒント「考えすぎないように」

リバン・モイネロ(左)と海野隆司【写真:川村虎大】
リバン・モイネロ(左)と海野隆司【写真:川村虎大】

「シンプルな話しかしていない」と明かした海野との会話

 正捕手の座を掴むために、左腕が投げかけた言葉は“ヒント”になるかもしれない。共同作業が求められるバッテリーで、リバン・モイネロ投手が重要視するのが「自分の仕事に集中」すること。厳しい言葉にも取れるが、熾烈な争いの中、若鷹たちに“悩みすぎるな”というメッセージでもあった。

 11日にタマスタ筑後で行われた春季教育リーグのくふうハヤテ戦で実戦初登板したモイネロはベンチに戻るたびにバッテリーを組んだ海野隆司捕手と言葉を交わした。「シンプルな話しかしていないんですけど」としつつ、伝えたことを明かした。

「しっかりとボールをブロックするのがキャッチャーの仕事かと思うので。そこだけ集中してやっていこうという話をしました」

 この日の最速は149キロ。5回67球を投げ、4安打1失点の快投だった。直球とカーブを中心に、チェンジアップ、スライダーを要所に混ぜ合わせ、毎回7奪三振。海野も「球が本当にすごいので。必死に止めるとか取るとか最低限のことはしないといけない」とワンバウンドにも食らいついた。

 絶対的な存在だった甲斐拓也捕手が巨人へFAで移籍。春季キャンプでは海野以外に谷川原健太渡邉陸嶺井博希らと正捕手争いを演じてきた。小久保裕紀監督は「投手と捕手で信頼関係を築くことがすべてだと思う」と総括するなど、まだまだ競争の途中。キャンプのブルペンでは、モイネロが海野に何かを伝える場面が何度もあった。

 モイネロにとって昨シーズンは先発に転向して1年目。11勝を挙げ、防御率1.88でタイトルも獲得するなど、ローテーションの柱としてリーグ優勝に貢献した。左腕は“相棒”について「自分たちの仕事ができるようにあまり考えすぎないようにして欲しい」と話す。球種やコース、走者と様々な要素が絡む中で配球を決めるのが捕手の仕事だが、深く考えても打たれる時は打たれる。自信を持って球種を選択し、ワンバウンドを体で全力で止める――。それが“信頼”を生む。

 海野自身もモイネロの“理想”を必死で追い求めている。「ストライクをしっかりストライクに見せないといけないし、球もいかついので。全部が全部止めるわけじゃないですし、全球ワンバウンドが来るとわかっていれば、止めるのは簡単なんで。その中で1、2球来た(ワンバウンドの)球をビシッと止める難しさですよね」。左腕から繰り出す150キロ超えの直球に、鋭い変化球。モイネロの球は、捕手の力量をさまざまな意味で“むき出し”にするだろう。今は必死に食らいつき、とにかくお互いを知っていきたい。

 配球、ブロック、フレーミング……。捕手がいかに難しいかはモイネロ自身も理解しているからこそ、シンプルな思考でいて欲しいと願う。小久保監督は投手と捕手の組み合わせは、信頼関係も考慮することを明かしている。エース左腕の“相棒”となれば、正捕手の座に近づくのは間違いない。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)