「2人とも必死に追いかけてギリギリだったじゃないですか。寸前で正木の声も聞こえたんですけど、寸前すぎて避けられなかったです。お互いに声も出していましたし。ないようにはしないといけないですけど、仕方ないです」
昨シーズン、外野手としてゴールデン・グラブ賞を獲得した名手。しっかりと準備した上でのプレーだったとも明かす。強い上空の風が代名詞でもあるZOZOマリンスタジアム。「風で流されるのは頭にありました。正木も必死に追っていましたし、試合前に『あっちの打球は(左翼方向に)流されるから。正木ちょっと左中間は来てな』『そっち側は頼むかもしれない』とは言っていました」と、プレーボール前からお互いに声を掛け合っていた。
昨年11月に手術した左膝への影響は感じなかったが、最悪の可能性が一瞬、頭をよぎった。「『終わった』と思いましたけど、時間も置いたら大丈夫だったので。それでいけるかなとは思いました」。観ている側もヒヤッとするプレーだったが「当たった瞬間に膝は大丈夫だと、まず思いました。最初、息はできなかったですけど、時間を置いたら痛くもなかったです」と、頷きながら笑顔で語った。
自ら、胸部を手で押しながら確認したが「骨も大丈夫そうでした。ちょっと気持ち悪かったので、内臓がやられていないか。そっちだけでした」という。その後、病院に向かい、問題なしと診断結果を得たことで、離脱とはならなかった。正木からは謝罪があり、周東からかけた声は「大丈夫」だった。「そこからいいプレーもしていたし、むしろ気にしていなくてよかったです」。自分の身はもちろん大切だが、後輩がその後もチームのために力を尽くしていたことも、嬉しかった。
この日、ホークス1軍は長崎での巨人戦。小久保監督も「もともと(長崎に)来る予定やったよ。大丈夫だし、今週あと5試合は予定通りにいきます」と話した。周東も「(交錯した後について)試合にも出られる感じでしたし、シーズン中だったらいっていたとは思いますけど。気をつけていきたいです」と言い聞かせる。もう1度、万全の状態で開幕を目指していく。心配は必要ない。