小久保監督が苦言、若鷹の競争「見えない」 練習試合で完敗…チャンスは“あと3試合”

小久保裕紀監督【写真:冨田成美】
小久保裕紀監督【写真:冨田成美】

5番手で登板した前田悠伍は2回を投げて無失点…指揮官も一定の評価

 ソフトバンクは26日、韓国ロッテとの練習試合に1-6で敗戦した。登板した5人の投手は明暗がハッキリと分かれる形となり、打線は4安打でわずか1得点。相手投手陣を打ち崩せなかっただけでなく、野手には集中力を欠いたようなプレーも見られた。小久保裕紀監督は「わかっているのか」と苦言を呈し、今春のキャンプに入ってからは珍しく呆れたような表情を見せた。指揮官はさらに“開幕メンバー”について具体的に言及した。

 先発の前田純投手は2回無失点。2番手の又吉克樹投手も1回無失点とバトンを繋いだ。しかし、4回から登板した木村光投手が2回2失点と崩れると、村田賢一投手は失策も絡むなどして2回4失点と、相手に主導権を渡してしまった。小久保監督も「中継ぎでいった投手は、向こうの打線の方が上でしたね。2ストライクと追い込んでから、あれだけ決め球を振ってもらえなくて。最後は真っすぐを打たれていましたから」と潔く認めた。

 打線も4安打1得点。4回2死から井上朋也内野手が左越えにソロを放ったが「キャンプあんまり状態は良くないです。ホームランは打ったけど、あのボールしか打てんやろうという球。それを仕留めたのは立派ですけどね。あの打席の内容、これまでの内容、この1週間前くらい前からの内容は全然です」と表情は厳しいまま。相手は“初顔合わせ”の投手ばかりだったが、指揮官が物足りないと言い切ったのは、開幕1軍に向けた競争の空気が感じられなかったことだ。

「初見っていうのは言い訳にならん。あと3試合が今のメンバーです。(ヤクルトとのオープン戦が始まる)3月4日からS組の主力が戻ってくる。それまでの3試合が今のメンバー。開幕1軍はシミュレーションしていますけど、(ジーター・)ダウンズを抜いて、あとキャッチャーが何人入るのかわからないんですけど。(ダウンズを抜いた)野手では、今日いたメンバーで多くて4人。キャッチャーを3人(1軍に)入れるなら、3人しか入れないです」

 そして「とてもそんな争いをしているようには見えないね。残念ながら」と付け加えた。9回1死の守備、左翼に入っていた笹川吉康外野手が、グラブに当てながらも飛球を落とす失策。7回には海野隆司捕手が一塁への牽制を悪送球するなど、集中力の欠けたプレーも散見された。23日には、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)が「(26日の試合からは)しっかりと評価させてもらうということは伝えている」と明かしていた。

 今宮健太内野手、川瀬晃内野手が負傷離脱している今、遊撃としてダウンズには期待がかかる。捕手についても「コメントしません」と競争を見守り、まだ開幕の時点で何人ベンチ入りさせるのか、決めかねている状況だ。それを差し引いても、4安打1得点。あまりにも寂しい内容だった。3月4日から、チャンスの数は一気に減る。若鷹に残された時間は、決して多くない。

「工夫というか、このメンバーでこれだけ試合、打席に立てるのはあと3試合ですよって。わかってるのかっていうことです」

 高卒2年目の前田悠は3三振も奪う好投。指揮官も「スピードガンよりはちょっと速く見えましたけどね。あとフィールディングがうまいなと思いました」と頷いた。一方で、現在の立場については「今のところはその(開幕ローテーション入りを争う)立場ですけど、狭き門です」と話すにとどめる。結果を求めるのは、もちろんのこと。限られたチャンスの中で、プロとしての力と姿勢を出し切ってほしい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)