あえて「時代に逆行」…球数を増やす投手陣 倉野コーチが伝えたい「メッセージ」

ソフトバンク・倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)【写真:冨田成美】
ソフトバンク・倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)【写真:冨田成美】

昨年の春季キャンプとの違いは“球数”…期待する技術向上

 2月1日から始まる春季キャンプを前日に控える中で、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)が投手陣へのミーティングを行った。A組には20人、B組には18人の投手が参加する中で、キャンプのテーマを再確認した。昨年、春季キャンプを打ち上げた時には「物足りなかった」と語っていた倉野コーチ。その思いを今回のキャンプにどのようにぶつけていくのか。キャンプ中のテーマなどを語ったコメント全文は以下のとおり。

――キャンプのテーマ。
「キャンプのテーマっていうか、シーズン通して、ということですよね。良かったものは継続するし、変えなきゃいけないものは変えていくっていうことで、話をさせていただきましたけど。技術的なところはそんなに変えるところはないかなっていうのはあります。個々にはありますけど、チーム全体として掲げる方針みたいなものはあまり変えることはないですね。もっと言うと、気の持ちようみたいなところは、ちょっと話をしましたけど」

――気の持ちようについて。
「僕が今日一番メッセージとして出したかったのは、もっとタフな選手を。全員が全員ひ弱って言っているわけではなくて、チームとしてタフな選手の集まりでいてほしいっていうところですね。それは本当のプロフェッショナルっていうところも含めてですね」

――タフとは、調子が上がらない時もそうあるべき、という意味ですか?
「全てですね。ダメになった時もそうだし、自分が思いもよらなかった時とか、逆境も含めてですよね。例えば、自分が思いもよらないところで投げることになった、というのもそうだし、調子が悪い時もそうだし。逆境というか、自分の思い通りに行かない時の強さっていうか、そこは求めていきたいなとは思っていますね」

――去年1年を見て、そういったところがもっと欲しかった?
「1年経って色々振り返った時に、良かった部分ももちろんあったんですけど。僕の責任なんですけど、選手に良かれと思っていたことがそうじゃなかったかもしれないっていう部分があったので。それは具体的は言わないですけど。そこは僕自身も反省点として、もう1度本当の強いプロフェッショナル集団を作りたいという思いで、今日は話をしました」

――昨年のキャンプでは「物足りなかった」とおっしゃっていた。それを踏まえて何かを変えることは?
「投げる数っていうのは、今の時代に逆行するかもしれないですけど、増やします。全員が全員ではないですよ。増やす部分はあります」

――タフさを増やすための球数か?
「そこに関しては、数多く投げることがタフになるというわけではないと思っているので。やっぱり投げて技術を上げようよっていうところはありますよね」

――技術を向上させるための球数?
「そういう意図です」

――先発ローテは3人確約されている。それ以外の選手に求めるもの。
「そこは大きな課題だと思うし、その3人だって何が起こるかわからないわけですから。その時の準備はしておきたいなとは思っていますし。みんなが競ってくれればレベルの底上げもできると思います。でも今日みんなの顔を見ましたけど、みんな気持ちが入っているというか、ギラついている部分も見えたので、それは嬉しかったですね」

――練習中もギラつきを見せてほしい。
「でも、あまりハッパをかけすぎて怪我するのも怖いんで。そこのバランスは僕らの仕事ですけど。いい雰囲気を僕は感じましたね」

――選手の発言でギラついているなと思った?
「発言するタイミングを与えなかったんで。やっぱり焦っちゃうんですよね、こういう場って。時間が時間だし、移動してきて疲れているしっていう。僕の講演を聞きに来てくれたらいんですけどね。ちょっと焦っちゃうので、会話のキャッチボールはできなかったりするので。それはこれから、おいおいやっていくので。まずはスタートで、こういう風に行こうよっていうのは、最初が大事だと僕は思っているので、今日改めて話しました」

――上沢投手は肘の状態もある。ゆっくり調整させる?
「ゆっくりという表現はしないですけど。状態を見ながらですね」

(飯田航平 / Kohei Iida)