毎年恒例の必勝祈願…小久保監督がスローガンのポーズを「レクチャーします」
指揮官からまさかの言葉が届いた。「言われたからにはやらないと……」。シャイな選手会長の新しい一面が見られるかもしれない。周東佑京内野手が、思わず苦笑いを浮かべた理由とは?
ソフトバンクは29日、みずほPayPayドームで記者会見を行い、小久保裕紀監督が出席。今季のスローガンが「PS!(ピース)」に決まった。「Professional Spirit」の略称。チームの全員が替えのきかない存在、すなわちピースになれるようにという思いが込められている。「美しさに終わりはない。それは今年も選手には求めていきたいですし、美意識は持ち合わせてやっていきたいです」と胸を張った。
一夜が明け、福岡市の筥崎宮で必勝祈願に向かったこの日。参拝を終え「ここにくると、また新しい年の野球が始まる感じがします。まずは宮崎キャンプで1か月間、みっちりとトレーニングを積んでいきたいです」とマイクを握った。背筋を伸ばして挨拶すると、さすがは小久保裕紀という男。「昨年同様、ポーズがあります。レクチャーします。ここにいるファンの方々を中心に、昨年以上に広めてください」と決まったばかりのスローガンを“宣伝”だ。
「まずは左手で胸の前にVサイン。その後に、『一番になる』という右手のイチ(人差し指)を重ねると、ピースになります。これをファンの中で、広げてください。選手と一緒に写真を撮る時に、このイチをつけてもらって、ファンと一体になるという意味も込めています」
カメラを手にしながら、たくさんのファンが見守っている。一切恥ずかしがることなく、ポーズをレクチャーしていた小久保監督は「周東選手も積極的にやってくれると思います」と、後列にいた選手会長にいきなり“パス”だ。指揮官の姿を笑みを浮かべながら眺めていたが、さすがに驚いた。「監督に言われたからには、やらないといけないですね……」と苦笑いするしかなかった。
後輩たちを引っ張る気持ちも強く、チームの先頭に立つ役職。一方で、少しシャイな人柄も周東らしさだ。ポーズの宣伝を直々に託されて「恥ずかしいですね。あまり、やりたくはないですけど……。率先してやりたいと思います」と言う。何かを広げていくには、選手に協力してもらうのが一番。小久保監督の思いと“狙い”が、たっぷりと詰まったパスだった。
昨年は123試合に出場して打率.269、41盗塁でタイトルを獲得するなど、初の規定打席にも到達した。選手会長として2年目のシーズン。「今のプロ野球界で、走れる選手も減ってきていると思います。その中で、先頭に立って走っていくところをプロとして見せていきたいです」と、欠かせない“ピース”としてリーグ連覇に貢献していくつもりだ。自身の活躍にも比例して、きっとホークスの名前もスローガンも、日本中に広がっていく。
「(スローガンを初めて見た時は)プロフェッショナルスピリットっていうところまでは見ていなくて、最初は『ピースするのかな』って思いました。小さい子にも馴染みがあって、いいんじゃないですか?」
昨年11月に手術した左膝の状態を考慮され、春季キャンプはS組スタートとなった。「1月にやってきたことを、引き続きです。できることも増えてきて、8割くらいではできているので。マックスでできるように、その中で痛みが出ないように。まずは状態を良くすることを最優先にしていきたいです」。今年こそ必ず、日本一になって笑う。恥ずかしがるかもしれないが、できるだけポーズも浸透させていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)