周東佑京、S組“昇格”の舞台裏 リハビリ組から一気に…小久保監督に告げられた意外な理由

周東佑京【写真:竹村岳】
周東佑京【写真:竹村岳】

S組プランが初めて浮上した昨年11月19日…小久保監督が10人をリストアップ

 ソフトバンクは26日、プレーボールミーティング(監督・コーチ会議)を開き、2月1日から始まる春季キャンプのメンバー振り分けを決定した。当初、S組には選ばれていなかった周東佑京内野手は、なぜ調整を一任されることになったのか。舞台裏にあったのは、指揮官との意外なやり取りだ。

 S組はホークスにとっても新しい取り組み。小久保裕紀監督がプランを初めて口にしたのが、昨年11月19日だった。その時点では投手と野手で5人ずつの名前が挙げられ、2月15日から本隊に合流する。左膝を手術した周東は、回復状況を見ながら判断される見込みだった。1軍に当たるA組でもなく、リハビリ組でもなく、なぜ一気に“S組”に昇格したのか。本人が理由を明かした。

「経緯ですか? 選手会長だからじゃないですか?」

 今季が選手会長に就任して2年目のシーズン。昨年1月31日、春季キャンプのために宮崎入りした時には空港で小久保監督とともに花束を受け取るなど、先頭に立つ役割は少なくない。「やることはあるので」と、今年もその任務を担っていくことになる。チーム全体を見渡してもらうためにも、少しでも本隊に近い場所にいることになった。

 今月17日、小久保監督がファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」を視察。周東もすぐさま挨拶に出向き、自身の状態について報告した。その時にも組み分けの話題になったそうで「普通に、監督と話をしました。その時は話し合っとくか、くらいの感じだったんですけど、ちょっとしてから(正式にS組スタートが決まりました)」。実際に告げられた言葉も「選手会長だからな」だったという。

 そのやり取りに、隣で立ち会ったのが中谷将大リハビリ担当コーチだ。「喋ったのは3人でしたけど、ほとんどは監督と周東が話していました。本当、(宮崎でスタートすることになったのは)周東の意思っていうのもあります」と明かす。本人も、左膝を踏まえて若干の“猶予”が与えられたが「そんな変わらないです。やることはやりますし、早く100%に近づけられるようにというのは、どこにいても一緒です」と足元を見つめる。その上で「向こうの方がモチベーション的には高くいられる」と、力強く今後を見据えた。

 宮崎にも、リハビリ組を担当するトレーナーは足を運ぶ予定。中谷コーチも「今のところしっかり動けているのと、あっちに行ってチームとしてやりたいという周東の意向でもあります。ある程度こっちで確認もできたので、そんな飛ばさずにやれると思います。トレーナーさんとかも一緒に行くので、そういう情報を共有しながら」と語った。手術を受けて、2か月以上が経過した。周囲のサポートを頼りに、万全の状態がようやく見えてきた。

 柳田悠岐外野手からも「S組?」と声をかけられ「らしいです」と応えていた。昨シーズンは123試合に出場して打率.269、41盗塁など初めて規定打席にも到達した。一方で、まだまだ自身の立場が安泰ではないことも理解している。「できることをやる。15日からと言われていますけど、入れるなら早めに入りたいなと思いますし、もともとはS組ではないので。周りの選手とは違いますから」。全力で走れるようになるまで、もうすぐだ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)