川村も驚く、栗原との共同生活「10時には寝ている」
指揮官が見透かしていた自身の姿に、年始から肝を冷やした。ホークスの栗原陵矢内野手が25日、自主トレを公開した。「3割30本を打ちたいと思います」と今季の目標を掲げたが、この数字を設定したことには小久保裕紀監督からのメッセージが関係している。
「1月1日に、監督に『あけましておめでとうございます』とメッセージを送らせていただいたところ、『気持ちのムラをなくせば3割は必ず打てる』と言われたので」
自ら指揮官へ送った新年の挨拶。しかし、返ってきたメッセージは、まさかの指摘だった。「バレてるなって感じです」と、栗原自身にも思い当たる節があった。心に刺さり、今季の意識を変えるきっかけとなった小久保監督とのやりとり。そしてすでに実行に移した“行い”とは――。
「ドキっとというか、ヒヤっとというか、ゾッとしました」
小久保監督から返事が来た時の心境を、苦笑いで明かした。シーズン中に指摘されることはなかったが、実は栗原には、ちょっとした“欲”が顔を出す時がある。毎打席、同じ心境で迎えることを心がけてはいたものの「狙っていないのに振ってしまってアウトになったり、点差が開いた場面で『こういうのやってみようかな』といつもと違う気持ちで打席に入ってしまうことがあった」。腹の中は指揮官にしっかりと見透かされていた。
新年の挨拶には今季の目標も記していた。「しっかりと自分の中で『3割打ちます』というメッセージを送らせてもらった。そこで『30本も追加してもらわないといけないね』っていう話と、その(思わずバレていると思った)メッセージが来ました」。思いがけない指摘と注文だったが、自分が目指すべき数字が明確になった瞬間でもあった。2024年は打率.273、20本塁打、87打点。3割も30本もクリアしたことはないが、小久保監督に直接伝えたのだから、目標に向かって突き進むシーズンになる。
“ムラ”をなくすための行動は、自主トレ中から始まっている。栗原に弟子入りし、寝食をともにしている川村友斗外野手によると「(午後)10時には寝ている」という早寝ぶり。「朝の6時45分にご飯を食べに行くんですよ。僕は6時40分くらいまで寝ちゃうんですけど、あの人(栗原)はすでに元気なんです。『今日もいい1日にするぞ』みたいなことを言われています」と明かす。一軒家を借りての共同生活。栗原のエネルギッシュさには驚かされているという。
「クリさんに『もっと丁寧にやっていこう』って言われたんで、僕のテーマは“丁寧”でやっています」と続けた川村。自身だけではなく、後輩も巻き込みながらトレーニングを積み重ねてきた。その成果は必ず数字になって表れるだろう。
「本当に毎年毎年レベルアップしていかないといけないですし、去年のままでは試合に出られないと思います。それが結果的にチームを引っ張って行けるような数字であったりとか、行動になればいいかなと思います」
指揮官に見透かされていることを意識しながら過ごした1月。2月1日のキャンプインでは首脳陣を驚かせるほどの姿を見せてくれるはずだ。
(飯田航平 / Kohei Iida)