「心技体」。スポーツ選手を表す言葉の1つだ。山川穂高内野手は、気持ちをコントロールすることも「技術」だと表現する。重要視するものは、人それぞれだが、新たな進化のきっかけを「心」に見出そうとしているのが、大関友久投手だ。
大卒5年目の2024年は20試合に登板してキャリアハイの8勝を挙げた。4敗を喫したものの、防御率2.50の安定感を示した。昨年12月の契約更改では3500万円アップの9000万円(金額は推定)でサインした。「今年できなかった日本一。個人としては13勝と160イニングを目標にしたいです」と、新年の目標を高々と掲げる。
心技体において、大関は「(3つとも重要だと)思いますね。その人によって違う、得意なものや適性があったり、そもそもその考えを持たない人の方が強いのかもしれない」と言及する。2025年がプロ6年目。なぜメンタル面という分野に、進化のきっかけを見出そうとしているのか。
「心技体を考えた時に、それぞれの(世界で)トップの人はいろんな話をされる。考え方は1つじゃなくて、技術が大事、心が大事、体が大事っていう人がいる。どれも正解で、結局3つとも高めないといけないのは変わらないんですけど、どこに一番自信を持って、どこを極めていくのかは人それぞれ違う。自分に合ったものを見つけたいと思ったんです。技術と体を向上させていかないといけないですけど、まずは自分は心からもう1度見つめ直した方がいいかなと思ったので」
絶対に妥協を許さない性格。投球に繋がることならなんでも耳を傾けて、積極的に勉強もしてきた。体重も一時は100キロを超えるなど、フィジカルにヒントを探したこともあった。自分が思う限りのことは試してきたからこそ「極めようと思っても、僕は杉山(一樹)や、大谷(翔平)さんみたいなフィジカルにはなれないなと思った。真剣にフィジカルに取り組んできたからこそ、そこは諦めがつく。だからと言ってないがしろにするわけもないですけど、でもそこで一番になることはできない」とキッパリ言う。
だからこそ、メンタル面だ。「心は分野がすごいものですし、正解はないけど、わかりやすい」。厳しいプロの世界で結果を残すために、十人十色の調整方法が存在する。“未発掘”だから左腕は没頭し、可能性を感じてきた。
「フィジカルトレーニングはある程度は確立されているじゃないですか。技術もいろんな教える人が出てきて、みんなそこに通ったりしていますけど、技術は選手もみんな磨いてきたことだと思うんです。心っていうのは意外とまだまだ手付かずというか伸び代がある。分野が広すぎる分、第一優先にはしてこなかったんですけど、自分が上を目指していくとなったら基本的には心だなと思いました」
ドジャースで活躍する大谷翔平投手は、花巻東時代に人生設計シートを作成し、細かく目標を定めていた。大関も2024年の戦いについて「1試合ごとにいい設定ができている。そういう目標の立て方も上手くなっているのかなと思います。元々そういうことはなんとなく考えていたので、しっかりと知識をつけた上で、どういうやり方がパフォーマンスに生きるのかっていうのは少し勉強しました」と明かす。誰よりもいい投手になりたい。志がハッキリしているからこそ、道筋を見失うことなく、マウンドに立てる。
「心って、ただのメンタルって(言葉で)簡単に片付けるものではないと思います。どういう気持ちで練習に取り組むのか、マウンドで勝負するのか、どういう考え方をすることでトレーニングをするのか、繋がってくると思います。もともと精神面は自信があったんですけど、そこを自分の武器にしようと思っている成果が、これから出てくれたらと思います」
どんな時も野球のことを考えて、日々の中からもヒントを探そうとしている。歩みを止めないから、大関から目が離せない。