人生のパートナーと一緒に歩んだシーズンだった。愛妻の存在を「大きかったですね。家に帰ったら野球から(気持ちを)切り替えられるタイミングというか。ご飯はもちろん、休みの日によく出かけたのも大きかったと思います」と語る。今は侍ジャパンの一員として戦う栗原。家族の支えに感謝しつつ、グラウンドでは勝利だけを目指して努力を重ねている。
ディズニーランドや温泉旅行……。愛妻とはいろんなところに足を運んだ。2人で意見を出し合うそうで、「妻から言うことも多いです。『明日どこか行きたいところある?』『こういうところに行きたい』みたいな。1泊でもできる時間があれば温泉に行ったりしていました」と感謝していた。1度も登録抹消されることなく、完走した今シーズン。貴重な休日は家族との時間に充て、リフレッシュをしていたそうだ。
自宅での愛妻との時間は、グラウンドでは見せない一面を見せる瞬間だ。家族の前で感情を出す選手と、野球の話すらしない選手がいるが、栗原は「出しますよ。全然(感情を)出します」とキッパリ言う。「黙ることもありますし、バーっと言ってしまうこともあります」。そう語るのは、同じ時間を過ごす中で互いのことをより知ろうとしている証だ。
「結婚してからまだ、そんなに日も経っていないですからね。お互いのことを理解する上で、言い方がキツくなってしまうこともありました。そこは反省しながら、話し合っていました」
頂点だけを目指した2024年。春先は「部屋から出たくない」というほど、絶不調に苦しんだ。プロ野球選手を支える愛妻の形は人それぞれ。栗原は千笑美さんのスタンスを「『大丈夫だよ』『できるよ』っていうタイプです。そういう話の方が多かったと思いますね」と表現する。「いろんな話をしてくれます。野球のことも見てくれますし。アドバイスとかはないですけど、気持ちの面の支えが一番大きかったです」と、優しく自分に寄り添ってくれていたことを明かした。
昨年11月26日に行われたファン感謝祭で、結婚を公表した。その時点で交際期間は「短いですよ。半年くらいです」と明かしていた。一緒に食事をしたことがきっかけで、関係性は深まっていった。都内の海が見える場所でプロポーズ。「結婚してください」というシンプルな言葉で、思いを伝えた。当時は、栗原も右手首の骨折から復帰を目指していたところで、「存在は大きかったですね」と愛妻の支えに深く感謝する。
日本一は逃してしまったが、4年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた。12月には待望の優勝旅行も予定されている。プロ野球選手にとってオフシーズンは、家族との時間を楽しみ、感謝を伝えるタイミングでもある。「そこ(オフ)でしか返せない部分があります。シーズン中ってすごく神経質で、無理を言ってしまうこともあるので。いろんなところに行こうかなと思っていますし、ゆっくりできるところはしたいです。優勝旅行にも一緒に行けたら」と笑顔で話した。
2014年ドラフト2位で入団し、福井から福岡にやってきた。10年目のシーズンが終わり「難しかったですけど、人として、野球人として、自分の中でもちょっとは成長できたかなと思えるような1年でした。僕自身も変わってきました。(食事の場でも)はっちゃけるというよりも、みんなでゆっくり話すことの方が多くなってきたと思いますね」と、自身の変化も実感している。誰よりも喜ばせたい妻のためにも、もっともっと頼もしい存在になっていきたい。