2戦3発の大活躍も…山川は「やっている側は最後の最後まで怖いものです」
驚き、喜びをストレートに表現した“Vの字ポーズ”だった。2戦3発と勢いが止まらない主砲の豪快なアーチに、ファンもベンチも笑顔になった。
「2024 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージ第2戦が17日にみずほPayPayドームで行われ、ソフトバンクが日本ハムに7-2で勝利した。ヒーローインタビューに選ばれたのは、2打席連続本塁打を放った山川穂高内野手だ。会心の感触に「もちろん、狙っていました」と胸を張る。ベンチでのリアクションも選手によってさまざまだったが、特に注目を集めたのが柳町達外野手とジーター・ダウンズ内野手だった。
山川が序盤から主砲の働きを見せた。1点を追う初回2死二塁では同点に追いつく左前適時打。小久保裕紀監督も「大きかった」とうなずく一打で、すぐに試合を振り出しに戻した。5回2死で左腕の宮西から、7回無死は右腕の福島からそれぞれソロを放ち、一気に流れを手繰り寄せた。アドバンテージの1勝も含め、日本シリーズ進出に早くも王手をかけた。「やっている側は最後の最後まで怖いものです。まだまだ(試合は分からない)と思っていました」と振り返るが、これ以上ない勢いをチームに与えた。そんな2発だった。
まずは1本目。スタンドに消えていく打球を見送って、ベンチで思わず両手を広げたのが、柳町だった。山川の一撃をどんな心境で見守ったのか。
「すごすぎて上にどすこいが出ちゃった感じです。『エグーい、どすこーい』って感じです」
写真は、山川の打球がスタンドインした瞬間をとらえたもの。山川がベンチ前で恒例の「どすこい」ポーズを決める前に、誰よりも早く柳町が“上にどすこい”していたようだ。今季は8月15日の西武戦(ベルーナドーム)、16日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)で山川と柳町は2試合連続でアベックアーチを記録している。その時も、27歳のヒットメーカーは「ホームランもいっぱい打ちたいですし、打てるように頑張ります」と語っていた。大一番でベンチから見た山川のアーチに、両手を広げて喜んでしまった。
もう1人、「どすこい」に戸惑いを見せていたのがダウンズだった。ダイヤモンドを1周してベンチに戻ってきた山川に対し、ナインはパフォーマンスまでの流れを理解しながらハイタッチを交わした。そしていざ、どすこいの瞬間。ダウンズは両手の人差し指をちょこんと上げ、控えめすぎるポーズを見せた。
「みんながやっていることを見て、研究して真似していきたいです」と笑いながら振り返ったダウンズ。山田雄大通訳も「今までもハイタッチはしていましたけど、みんなが(どすこいを)やっているのに自分で初めて気づいてやったんだと思います」と補足して説明してくれた。
7月30日に獲得が発表された新助っ人。9月25日に1軍昇格すると、7試合に出場して打率.273、2打点を記録した。小久保監督も「限られた期間で、ただのアピールじゃなくて結果を残したということが、今に繋がっている。今日も四球を2つ取って、あの辺もすごく首脳陣の評価は高いです」と語る。CS2戦目、1番で起用されて2安打2四球と勝利に貢献したダウンズも「チームが勝ったので、それが全てだと思います。相手にプレッシャーにかけることもできたと思いますし、よかったです」と汗を拭った。
結果が全ての短期決戦。打線の中心がどっしりしているからこそ、ナインも伸び伸びと戦っている。シーズンでは34本塁打を放ち、4度目のキングに輝いた山川。小久保監督も「志願してフェニックス(みやざきフェニックス・リーグ)に行っているくらいですし、ゲーム感がずっとある方がいい、と。あと、松山(秀明2軍)監督が言っていましたけど、1人でランニングメニューを組んでずっと走っていたみたいです」と、アーチを追い求め続ける姿勢にも目を細めた。日本一への挑戦権を得て、全員で手を挙げて喜びたい。
(飯田航平 / Kohei Iida)