若手から中堅へ…川瀬が語る自身の“役割”「考え方は変わってきたのかな」
ソフトバンクの川瀬晃内野手が、鷹フルの単独インタビューに応じた。ラストとなる第3回のテーマは「9年目の現在地」について。若手から中堅と呼べる存在になってきた26歳。変わりつつある自身の立場や考え方、変わらない闘争心……。今感じていることをありのままに語った。
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来季には10年目の節目を迎える川瀬。プロで過ごした年数はもちろん、年齢的にも中堅のポジションにさしかかっていると言えるだろう。自身の立ち位置をどのように感じているのか。その答えは責任感をひしひしと感じさせるものだった。
「本当に若い時はがむしゃらというか……。最近までずっとがむしゃらにやってきたっていうのが正直なところですけど。今は少しずつ自分を分析したりとか、チーム状況を考えたりとか。去年までは自分だけで精一杯だったんですけど、周りが見られるようになったかなと今年は思いますね」
変化が見られるのは試合中に限ったことではない。今季は内野の全ポジションを守るなど、ユーティリティとしてチームに欠かせない存在となっている。かつて牧原大成内野手は「どのポジションでもほかの人より守れないと話にならない。そのためには、何倍も練習するしか自分の生きる道はないんです」と語った。それほど、難しい役割を任されていることは自覚している。
「例えば練習でも、『きょうの試合はここで出るかもしれない』と考えて、自分からセカンドを守ってみたりだとか。サードやショートもそうですけど、自分の判断でポジションを変えて練習しようというのは考え始めたので。そこは自分の成長じゃないですけど、ちょっとずつ周りが見え始めたかなという感覚はあります」
変わったものもあれば、変わらないものもある。今季はドラフト3位で入団した廣瀬隆太内野手をはじめ、正木智也外野手、川村友斗外野手、緒方理貢外野手、吉田賢吾捕手、石塚綜一郎捕手ら、自分よりも年下の野手が1軍で存在感を示すプレーを披露した。
特に牧原大と三森大貴内野手が相次いで離脱し、二塁のポジションが空いた時期は川瀬にとっても大きなチャンスだったが、多くの試合でスタメンを任されたのは廣瀬だった。もちろん守備固めや代打など川瀬にしか任せられない役割があることは間違いないが、それをよしとはしなかった。
「もちろん後輩が試合に出たら本当に悔しいですし、負けてられないなという気持ちにはなりますよ。まずは自分がもっと技術を向上させないと試合に出られないというのは分かっているので。そういうところは自分のことで精いっぱいですね」
一方で、これまで自身が重ねてきた経験は惜しむことなく後輩に伝えている。「ミスして引きずるなって言っても引きずるのは間違いないですし。僕もたくさんエラーして、そのたびに先輩に助けてもらったりしたので。『次はやってやるぞという気持ちを持ってやろうや』って。ミスを恐れるなじゃないですけど。次は自分が先輩を助ける、チームを助けるっていう気持ちでやろうっていう声掛けは実際に廣瀬にはしましたね」。
9月15日で27歳となる。童顔は変わらぬままだが、チームを思う気持ちは年々と強くなっていくばかりだ。
「この時期に1位っていうのが久しぶりですし、去年もずっと(1軍に)いたんですけど、やっぱり連敗が続いたりとか、苦しい時期があったので。隙を与えたらやられてしまうっていうのは去年も経験しているので。いい位置にいる時こそ油断せずにやるというのが本当に大事なことだと思います。考え方はやっぱり変わってきたのかなと思います」。最後のゴールテープを切るまで、鋭い眼光は変わらぬままだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)