飛びついて好捕も…リプレー検証で覆った判定
好捕した本人にもワンバウンド捕球だったことは分かっていなかった。ソフトバンクが2-1で勝利した18日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)。7回2死一塁でロッテ友杉の中堅への打球を周東佑京内野手が飛びつきながらグラブに収めた。アウトの判定にロッテベンチがリクエストを要求。検証が行われる中、外野に集まった周東と柳町達外野手は何を話していたのだろうか。
1点リードで迎えた7回だった。マウンドに上がったのは、ダーウィンゾン・ヘルナンデス投手。2死から中村に左安打を許して、迎えた友杉の打席だった。ダイレクトキャッチにも見えたプレーだったが、リプレー検証によって判定は覆り、記録は安打となった。
以前、ホークス側がリクエストを求める際の基準を「選手にはどちらにしてもジャッジと違う場合はアピールしてくれと言っている。当事者が1番わかるんですよ」と奈良原浩ヘッドコーチが話していた。今回は、ホークスがリクエストを要求される側。プレーの当事者である周東自身は、ワンバンドでの捕球であることに気づいていたのか――。リプレー検証中の会話を柳町が明かした。
「どうだろう? 捕った? 微妙ですね、っていう話をしていました。(周東は)『多分入ってると思うけど』とは言っていたんですけどね」
周東でなければギリギリのタイミングにもならないプレーだった。自身はノーバウンドで捕球した感覚があったそうだが、左翼を守っていた柳町の目では、判定がどちらなのかはわからなかった。しかし、聞こえていた“音”から、ワンバウンドだったのかもしれないと思ったそうだ。
「僕は音が2回『ババン』って聞こえたので、ああ、落ちたかなと思ったんです」。大歓声が響くドーム。「めっちゃ聞こえます」。ひとつのアウトを取るために、必死にプレーを続ける選手だが、その中でもハッキリと音は聞こえているという。
「前にも1度、フェンス際のプレーで2回音が聞こえたことがあるんです。その時はしっかり捕っていたので、今回もそうなのかなとも思ったんですけど……。判定が変わっちゃいましたね」
ノーバウンド捕球だと思いつつも、周東は審判のジャッジを見ることなくプレーを続行した。ワンバウンドしたかもしれない――。その考えがあったからこそ、すぐに内野手に返球したのだろう。そうでなければ、一塁ランナーが一気に生還していた可能性もあったはずだ。
2死一、三塁となった後は、ヘルナンデスが次打者を3球三振に斬って取り、このピンチを凌いだ。今回は惜しくもワンバウンド捕球だったが、周東でなければ捕ることができないプレーが今季はいくつもある。柳町が明かしてくれたリプレー検証中の会話。プレー中の情景と、選手間の心境が伝わってくるものだった。
(飯田航平 / Kohei Iida)