正木智也はなぜスタメンを外れた? 首脳陣が“本気”で見据える9連戦…語られた意図と今後

ソフトバンク・正木智也(中央)【写真:竹村岳】
ソフトバンク・正木智也(中央)【写真:竹村岳】

スタメンを外れたのは7月9日のオリックス戦以来…楽天との対戦打率.042

 どのような意図で、スタメンから外したのか――。3人の首脳陣が明かした。ソフトバンクは11日、楽天戦(みずほPayPayドーム)に5-2で勝利した。山川穂高内野手が4回に先制の22号2ラン。先発のカーター・スチュワート・ジュニア投手は7回無失点で7勝目を挙げるなど、投打の柱がガッチリと噛み合った。そんな中、出番がないまま試合を終えたのが正木智也外野手だった。小久保裕紀監督、奈良原浩ヘッドコーチ、村上隆行打撃コーチが明かした理由とは?

 正木は開幕こそ2軍で迎えたものの、ウエスタン・リーグでは打率.317、6本塁打と好調を維持していた。6月21日に待望の初昇格となると、今季は打率.306。7月10日のオリックス戦(京セラ)からはスタメンを外すことなく、小久保監督も「もうずっと6番ですからね、いい加減慣れてきたでしょう」と、少しずつ信頼が重なってきていることは認めていた。

 7月9日以来のスタメン落ち。そこにはどんな理由があったのか。小久保監督が明かす。

「山川をDHにして、じゃあファーストをどうしようかっていう中で、(中村)晃が瀧中との対戦(成績)がよかったんで。晃でいこうかと。じゃあ(外野は)柳町と正木どっちでいこうかとなった時に、じゃあ右(投手)なんで柳町でいこうか、みたいな感じです。別に正木の状態が悪いとかいう感じじゃなくて、比較ですね」

 この日が9連戦の2戦目。指揮官も「DH枠をうまく使ってやっていこうかなと思っています」と話していたように、この日は山川が打席だけに集中することになった。相手先発の滝中に対して、中村晃は通算で21打数7安打と結果を残している。山川がDHなら、他の選手が一塁を埋めなければならない。その兼ね合いを考えた結果、正木が外れることになった。

 奈良原浩ヘッドコーチも、小久保監督の言葉に同調する。

「この9連戦が山場というところが非常に大きいかなと思います。ここ数試合はちょっと(正木が)調子を落としているのもありましたけど、それよりも9連戦が続くこと。この連戦の間になるべく怪我だとか、そういうのがないようにという(狙いの)方が大きいですね」

 18日のロッテ戦(みずほPayPayドーム)まで続いていく9連戦。ここを乗り越えれば、週5試合という日程が4週も続く。だからこそ、今が「山場」だ。もう1度リフレッシュしてもらい、いいコンディションに整えるためにも、正木をスタメンから外すという決断をした。正木はパ・リーグ5球団の中でも、楽天との対戦打率.042。その他の4球団は3割を超えているだけに、奈良原コーチは「そこも含めてですね。相手投手との対戦打率とか、全部をひっくるめて外したということです」と続けて説明した。

 打撃の状態について、村上隆行打撃コーチは「悪くないですよ。問題ないです」とキッパリ言った。その上で「どっちかというと右(投手)を苦にしているところもあったので、1回休ませようということです」と、やはり休養は首脳陣としての思いでもあった。9連戦についても「一番の鍵になってくる。まずは怪我人を出さないようにオーダーを組みたいです」と、首脳陣として思いを統一しながら、苦しい夏場を戦っている。

 村上コーチは昨年、2軍で打撃コーチを務めていた。正木は右肩痛でリハビリ組にいる期間が長かったが「変わったと思いますよ。追いかけてしまっていた逃げるボールを、追わなくなりました。自信が持てる自分の形を作ったことが一番大きい」と変化を語る。「どっしりするようになりましたよね。『ここを投げられたら打てない』くらいの。まずは打てるところをしっかりと作る中で、そのゾーンがしっかりと広がってきました」と、成長はしっかりと感じ取っていた。浮き足立たなくなったことが、結果を出せている要因の1つだ。

「1回外すことで、ね。休憩もさせると『なんで』って悔しさも出てくるでしょうし、また出た時にやってくれたら。チーム内の競争もありますからね」と、村上コーチは期待の言葉を正木に送っていた。スタメンから外れたことが、注目される。正木が少しずつ、成長している証でもある。

(竹村岳 / Gaku Takemura)