今宮がここ何年間で感じている「なんか違う」…ポスト松田、川島の重要性
ソフトバンクの今宮健太内野手が鷹フルの単独インタビューに応じた。今回のテーマは「ベンチワークとしての声かけ」について。今季は前半戦を終えて2位ロッテに10ゲーム差をつける独走ぶりを見せるホークスだが、あえて言及したのはベンチの雰囲気。「どうしてもシュンとしているというか、『なんか違うかな』というのはここ何年かで感じますね」。ムードメーカー不在が及ぼす影響について語った。
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2017年から2020年にかけて4年連続日本一の偉業を達成したホークス。チームの代名詞といえば、12球団の中でもずば抜けた「声」だった。相手を飲み込むようなプレッシャーをかける“武器”。自身も遊撃のレギュラーとしてグラウンドに立っていた今宮は、当時と今の違いを口にした。
「あの時は松田さんや慶三さんをはじめ、ベンチワークとしての声かけがすごかったなと。今はベンチが、どうしてもシュンとしているというか、雰囲気として『なんか違うかな』と。そうさせなかった先輩たちがいなくなって、ここ何年かで感じているところではありますね」
今宮が言う「先輩たち」とは、松田宣浩氏(2022年オフに退団。2023年に巨人へ入団し、同年限りで現役引退)であり、川島慶三氏(2014年シーズン途中にトレードでホークスに加入。2021年オフに退団し、2022年に楽天入団。同年限りで現役引退。現・楽天打撃コーチ)だ。
チームが苦境に立たされた状況でも先頭に立ち、声を張り上げて後輩たちを鼓舞していた姿は、今も今宮の目には鮮明に残っている。「やっぱり、あれは特殊能力でしたね。すごかったと思います」。
たかが声でもされど声だ。「あれをできる、できないでベンチの雰囲気は全く違うなと、いなくなって感じています。単なる声を出しているだけでもないですし、タイミングとかを含めてすごかったですし」。短期決戦での驚異的な強さの根源の1つだったいう。
圧倒的なムードメーカーがチームを去って以降、新たな元気印が現れなかったわけではない。「今は新しい形で海野(隆司捕手)が一生懸命ね。ゲームに出ていない時はベンチの中で声を出してくれているんですけど、若い選手がそれについていけなかったりとか、海野の一言で終わってしまったりとか、っていうのはすごく思います」。
今宮自身は大きな声で周りを引っ張っていくタイプではないが、「そういった意味での声かけに対して僕らが後から入っていって、若い選手が入っていくっていう連動性を作っていけたらなとは思います」。小さな火種を大きな炎に変えるべく、チームの雰囲気づくりに一役買うつもりだ。
4年ぶりのリーグ優勝、そして日本一に向けてひた走るホークスだが、必ず苦境も訪れるだろう。多くの選手からも昨季経験した悪夢の12連敗を忘れていないとの言葉を聞く。苦しい時に前を向く大きなきっかけとなるのは「声」。このチームがさらに強くなるためにも、ベンチの雰囲気作りは不可欠な要素だ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)