予期していたファーム降格 仲田慶介が欲していたプレーの機会「野球したいなって」

ソフトバンク・仲田慶介【写真:竹村岳】
ソフトバンク・仲田慶介【写真:竹村岳】

減っていた出場機会…11日に今季初めて出場選手登録を抹消された

 背番号「69」を背負って、初めてタマスタ筑後でプレーすることになった。今季開幕前に支配下登録を勝ち取ったソフトバンク・仲田慶介内野手。昨季まで「155番」の3桁の背番号でグラウンドを駆け回っていた24歳は、今季は開幕から1軍で戦い、ここまで24試合に出場。ただ、代走や守備からの途中出場の機会も減り、とうとう11日に初めて出場選手登録を抹消された。

 仲田はこう心境を吐露する。「もちろん悔しさもありますけど、しっかり2軍でレベルアップできるように、もっと全ての面でレベルアップできるように頑張ろうっていう気持ちです」。10日のオリックス戦(京セラD)後、仲田は監督室に呼ばれた。小久保裕紀監督と奈良原浩ヘッドコーチと3人で話をし、小久保監督には「2軍で試合に出てこい」と送り出された。

 2軍降格にはなったが、それほどショックは感じなかった。「そろそろ落ちるんじゃないかな、と」。降格を言い渡される予感が、なんとなくあった。「試合に出たいっていう気持ちもすごいあったんで、また頑張るしかないなって」。意外にも、清々しい気持ちで、前向きに受け止められた。

 1軍での日々、感じたのは実力不足と途中出場の難しさ。「単純にやっぱり技術が足りないなって思っていたんで。ストレートを1球で仕留められなかったりとかで、どんどん不利なカウントになって、フォークがいいところに決まって、みたいな感じだった」。1軍レベルの投手に対応しきれない自身の実力不足を痛感した。

 悔いが残るのは、6月7日のDeNAとの交流戦だった。「自分としては、横浜戦でスタメンの時に結果を残せなかったので、そこが全てだったと思う」。出場機会が限られる中で得た貴重な2度目のスタメン機会。意気込んで挑んだ一戦で5打数無安打。2三振を喫した。「そういうチャンスでしっかり結果出せるように」。心身共にレベルアップすることを改めて誓う一戦になった。

 出場機会が限られ、試合感覚が薄れる中でのプレーは、想像をはるかに超えて難しかった。いつ出るかわからない緊張感、久々に出た時の対応…。特に途中からの守備に難しさを感じた。「途中からはほんとに難しい。結構ヤバいですね。ドキドキです。久々に出た時は、フワフワします。この前の京セラでの試合とかは久々だったんで、めっちゃ声を出して、自分を落ち着ける、じゃないですけど……。そこは難しいですね。どうしたらいいんかなぁとも思うけど、川瀬(晃)さんとかすごいなと思って。途中からでもどっしりしていて、経験値もあると思いますけど、なんか途中から行っても最初から出てるみたい。勉強になります」。同じ境遇でも試合に入っていける先輩の姿に改めて凄みを感じた。

 そうした先輩の姿も含め、ベンチに居て学ぶことは多かった。「勉強になる部分とかもすごくありましたし、緊張感とか雰囲気とかはやっぱ2軍とは違うものがあった」。プロのレベルを肌で感じてきたことは貴重な財産だ。小久保監督からも「そういう緊張感とかもイメージしながらやってこい」と背中を押された。「1軍をしっかりイメージしながら、そういう気持ちでやりたいなと思います」と、これまでよりも高い次元で試合に備えることができる。

 2軍に合流した11日の練習から、相変わらず精力的に汗を流していた仲田。「怪我もしていないのに、なんか野球をあんまりしてないというか……。野球したいなっていうのはめっちゃ思っていました」。舞台は2軍に移ったが、めいっぱい、大好きな野球に打ち込め、試合に出られることに喜びを感じていた。

 プロ野球選手として掲げる先の目標もある。目の前の課題と中長期的な目標を掲げて、黙々と取り組んでいく。1軍の戦力として、再び呼ばれるための準備と、プロ野球選手としてもっと活躍の場を広げるための鍛錬、どちらも並行して取り組んでいくつもりでいる。「もっと頑張ろう、もっとレベルアップしようって思ってます」。そう語る仲田の目は、キラキラと輝いていた。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)