【深層分析】不振の周東佑京は「殻を自分で破らないと」 井口資仁氏が求める“しつこさ”

ソフトバンク・周東佑京【写真:小林靖】
ソフトバンク・周東佑京【写真:小林靖】

周東が「ホークスの鍵だと思っています」

 ダイエー(現ソフトバンク)やメジャーで活躍し、ロッテ監督も務めた野球解説者の井口資仁氏がホークスを分析する新コンテンツ。第2回のテーマは、開幕から好調だったものの、5月以降は不振に苦しんでいる周東佑京内野手について。井口氏は「ホークスの鍵」と明言。期待値が高いからこそ、発破をかけた。

「私は周東がずっと1番で打ち続けることがホークスの鍵だと思っています。出塁して、相手にプレッシャーをかけて中軸に回すのが彼の役割なので。残念ながら今はできていないですね。ベンチスタートになる機会も増えていますし」

 昨季36盗塁で2度目の盗塁王を獲得。3・4月は主に1番で出場し打率.319、出塁率.394で8盗塁をマークした。最高のスタートを切ったかと思われたが、5月に入り調子は下降気味。月間で9盗塁を決めたものの、70打数14安打の打率.200、四球もわずか3個。出塁率は.250と落ち込んだ。6月も20打数4安打の打率.200となっている(12日現在)

 キーマンとして期待しているからこそ、復調への願いを込めて井口氏は叱咤激励を送った。「もう少し出塁に目を向けた打撃をしてくれたらと思います。年間を通して1番にいないといけない選手なので。周東がいることで周りの選手も生きてきますからね」。

井口資仁氏(右)【写真:竹村岳】
井口資仁氏(右)【写真:竹村岳】

「安定して小さい波で1年間を乗り切れる選手がレギュラー」

 現在の周東を見て感じる課題は、打席内でのアプローチにあるという。「追い込まれてから、もう少ししつこくできるかというところですね。簡単に引っ張ってセカンドゴロというのを目にすることが多い。相手投手にもっと放らせて粘るとか、困ったら三遊間に打つとか、もっと相手が嫌がることをやらないと。三遊間に転がせば、周東の足ならセーフになる可能性が出てくるわけですから。小久保監督も、そのあたりの話をしていました」と明かした。

 6月初旬は「1番・中堅」を柳町達外野手や佐藤直樹外野手に譲った試合も多かった。「いい時も悪い時も、安定して小さい波で1年間を乗り切れる選手がレギュラーなんです。調子が悪くなって控えや代走になっているようじゃレギュラーとは言えません。その辺の殻を自分で破らないと。相手からすれば、ラインアップにいるだけで嫌な選手なんですから」

 ライバル球団の監督だった経験も踏まえて送った“辛口エール”。ソフトバンクの圧倒的な強さに、周東のスピードは欠かせない要素となっている。

(湯浅大 / Dai Yuasa)