21得点大勝の舞台裏…「試合見られなかった」止まらぬ攻撃に西田広報は“うれしい悲鳴”

ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:長濱幸治】
ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:長濱幸治】

23安打、21得点、8人が打点マーク…21日に配信された広報メールは10件に上った

「ずっとベンチを出たり入ったりで……。正直、試合はほとんど見られなかったですね」。21-0という記録的な大勝を挙げた21日の楽天戦(みずほPayPayドーム)で、“うれしい悲鳴”を上げたのが西田哲朗広報だった。

 2回のホークスの攻撃が、西田広報に対する「戦いのゴング」だった。無死一、二塁で栗原陵矢内野手が中越えに先制の2点二塁打を放った。その10分後、さっそく「先制のチャンスを生かそうと集中しました。チャンスを生かすバッティングができて良かったです」と栗原選手のコメントが広報メールで届いた。

 そこからは怒涛の“メールラッシュ”だった。2回だけで川村友斗外野手、甲斐拓也捕手、柳田悠岐外野手、山川穂高内野手の適時打コメントが集中。さらに3回には栗原が1号ソロをマーク。こちらも10分後には「自分のスイングができました。今シーズン初ホームランがでてホッとしています。佑京さんに追いつくことができて良かったです」との広報メールが配信された。

 試合は23安打、21得点の記録的大勝となり、打者8人が打点をマーク。5回に放った2号2ランを含め、4安打6打点の大暴れとなった栗原陵矢内野手に関しては試合中に3度もコメントが送られた。試合中の広報メールは計8件で選手、コーチのべ10人分。大盛況ぶりに西田広報も思わず苦笑するしかなかった。

「普段、試合前は取材対応などで忙しいけど、試合中はしっかり選手のプレーを見る時間があるんです。それも広報の仕事なんですけど、あの時だけは試合を見る余裕は全くなかったですね」

 試合中に選手のコメントを聞き出すには、普段から選手1人1人のプレーを見ておく必要があるという。ただ、21日の試合は2回から「7」「1」「10」「2」と立て続けに得点が刻まれた。「ベンチに入って選手の言葉を聞いて、中に入ってメールで送って。またベンチに行ってメールを打ってと……。いつまで攻撃が続くんだって感じでしたね」と振り返る。

 選手のコメントを発信する仕事のうちには、打ちこまれた投手から言葉を引き出さなくてはならない場面もある。だからこそ、「打てた喜びや、やってやったという思いを数多くコメントとして出せるのは広報冥利に尽きますよね」と笑みを浮かべる。

 チームは翌22日、京セラドームで行われる楽天戦に向けて午前の新幹線で大阪入りするハードスケジュールとなった。西田広報は大勝から一夜明けても「疲れは全然ないですよ」ときっぱり。「このまま突き進んでほしいですね」と大勝の“再現”を期待していた。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)