大関&海野は「だいぶ前に決まっていた」 首脳陣、甲斐拓也の存在は「すごく助かる」

ソフトバンク・小久保裕紀監督(中央)【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・小久保裕紀監督(中央)【写真:荒川祐史】

ピンクフルデー最後は劇的サヨナラ決着「流れが変わった9回でした」

 ソフトバンクは19日、本拠地・みずほPayPayドームでの西武戦に2-1で逆転サヨナラ勝ちした。先発の大関友久投手が8回1失点と粘りのピッチングを見せるも、打線が西武先発・武内の前に沈黙。だが、9回先頭の周東佑京内野手が右安打で出塁すると、すかさず二盗を決めて得点圏へ。柳田悠岐外野手の起死回生の一打で同点に追いつくと、最後は1死一、二塁で近藤健介外野手が右翼の頭上を越すサヨナラの適時二塁打を放って決着をつけた。試合後の小久保裕紀監督、奈良原浩ヘッドコーチ、倉野信次投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)のコメント全文は以下の通り。

○小久保裕紀監督
――今日も近藤が決めた。
「武内、いい投手でね。2回目なんですけどなかなか得点を奪えそうな投手じゃなかった。9回に周東が出た後、ちょっと何があったのか把握していないんですけど、流れが変わったのかなっていう9回でしたね」

――投手が代わって「これでいけるかな」というものがあった?
「そういうわけではなくて、あそこは逆転を狙いに行くのか、同点を狙いに行くのかで、佑京が出ても中村晃で勝負をかけて逆転狙いでっていうので送り出したので。それが9回の攻撃になりました。あそこで武内が降りるとは思わなかったので。左対左で晃(中村)を行こうという中で、最後は繋いで素晴らしいゲームだったと思います」

――武内投手は打ち崩せなかった。
「でも、しばらくは当たることがないので、その時にまた考えます」

――大関友久投手は8回1失点だった。
「初回は、中17日かな。少し固さもあったでしょうけど、その以降は大関らしい投球。球数も120球くらい行きましたけど、そんなに球も落ちることなくしっかりと投げ切ったと思います」

――9回は先頭が出て、送りバントという采配ではなかった。逆転を狙った。
「そうね。逆転プラス、晃には初球から行けと言っていたんですけど、大体深いカウントまで行っているうちに佑京が走れるチャンスも出てくるだろうということで。普通に、勇に送らせてっていうイメージはなかったです」

――中軸が仕事をして連勝に繋がった。
「もちろんその通りですけど、山川は手が心配で、場所が場所だけにね。まだ何も聞いていないので。本当に骨のところ、何もないことを今はただ祈っています」

――大関投手は100球を超えても、8回まで投げ切れた。
「倉野コーチと話しながら、1点ビハインドっていうのもあって、相手投手との投げ合いで、2時間くらいで終わるかなっていうゲームでしたけど、それも含めて。同点になれば誰っていうのは決めていたんですけど、ビハインドのままやとね。中17日で落ち着いた投球だったと思います」

――劣勢でのベンチの雰囲気は?
「武内はね、交流戦に入ったらしばらく当たらないので、その時に考えますけど。小さい頃にこのドームで見ていた選手が、その土地に戻ってきてあれだけの投球をするんですから。1年目とは思えない落ち着きと技術の高さと、メンタルの強さを感じる投手だと思って見ています。本当のそのままトントントンと行ってしまいそうな雰囲気だったので。いい投手ですね」

――大関投手と海野隆司捕手にバッテリーを組ませた。
「だいぶ前に決まっていたから。今回に関しては」

――海野選手は、5回1死一、三塁でセーフティスクイズを仕掛けた。
「あそこは打たせてもよかったんですけどね。ゲッツーで終わるよりは、と思った。最悪、二、三塁でいいと思っていたので。二、三塁で三森で逆転(という想定)だったので。まあ、海野の今日の捕手は決めていました」

――栗原陵矢選手も、着実にチャンスを作る打撃。
「もともと左対左を苦にするバッターじゃないので。あとは欲しがると落ちると怖いんですけど、ホームランを打てるバッターに(1号が)出ていないのは気持ち悪いでしょうけど、難しいところですね。それを狙いに行って、調子を落とされても困るんですけど、求めるところは20本打った実績のある選手なんで、長打が出てくれるとなおいいなと思います」

――川村友斗選手にスタメンを託したのは、武内投手に対して「左対左」の方がいいと判断した。
「それももちろんありました」

――明日は王貞治会長の誕生日。前祝いにもなった。
「そうですね。それはわかっていました。今日の最後はね、そこは忘れていました、正直。無我夢中でした。白星が最高のプレゼントだと思うので。しっかりとご報告します」

――西武戦は週末が多く、鍵だと位置付けていた。10勝2敗で終わった。
「正直、6勝6敗が御の字っていうくらいの計算でした。先発投手を考えると、ね。4回当たると、こっちもモイネロが4回投げましたけど、向こうもなかなか4回投げさせるっていうのは(なく)ローテーションが変わりましたよね。大きく勝ち越せたのは思っていたよりも全然、上の成績ですね」

○奈良原浩ヘッドコーチ
――川瀬選手はアクシデント後の代走だったが準備はできていた?
「準備はしていましたよ。出たら、足から行くよという話はしていました」

――野村勇選手が一握り分短く持っていた。
「かなり短く持ってましたね。その打席の中で自分がどうしていくのかっていう、プランを立てながら、今日の球だったらこうなってるな、じゃあ短く持っていこうかなっていう、そういう工夫っていうのはやっぱり大事かなと思いますね。同じようにやって、同じように打ち取られてるようでは、このチャンスが少なくなってくるでしょうから。その工夫をしてる中で何かが見つかってくるっていうケースもあるでしょうし。だから、工夫っていうのは非常に大事かなと思います」

――安打はなかったが、今後につながる工夫になる?
「『あ、俺これぐらいで持った方がいいな』とか、例えば体調によってバットの重さを変えたりっていうのは当然、みんなしていくんだけど、ちょっと短く持つとかっていう、なにかしら工夫するっていうところがやっぱり大事かなと思いますね。根気よくやらなきゃいけない部分は根気よくやらなきゃいけないんだけど、でも、その打席の中で工夫していくっていうのは大事かなと思いますね」

○倉野信次投手コーチ
――大関投手の投球をどう評価する?
「前半というか、1、2回はちょっと課題が出たかなっていう風に思ったんですけど、途中からいろんな工夫をしてくれて、立ち直ってくれたんで、すごく良かったと思います」

――修正ができていた?
「この空いた期間に修正をかけてて、そこがいい方向に行ってることが、初回に確認できたので、それ自体がこの期間有意義だったなという風に思います」

――大関投手の状態は戻ってきた?
「もうちょいですね。やっぱり求めるところが高いところにあるんで。本人もそうですし、僕も求めるものはもっと高いところにあるので、そういった意味ではだからもう少し」

――それはストレートと変化球の両方?
「そうです」

――登板期間が空いて、調整が難しい部分もあった中での好投だった。
「難しくもありますけど、いろんな工夫をして、その日に合わせるのがプロだと思うので、そういう意味では、それが言い訳にはならないですよね。そのつもりで選手たちもやってくれてるし、僕もそのつもりで見ているんで。ただ、難しい部分もわかっているので、それはいろんなサポートをして試合に臨んでもらおうとは心がけています」

――そんな中でも8回まで投げ切ったことは評価できる?
「最後の1イニングっていうところは大きかったですね。延長になることもあり得たんで、そうなってくるとあの1イニングってかなり大きいです。そういう意味では、しっかり役割果たしてくれたので良かったなと。こうやって勝ちゲームになったっていうのが、本当に報われたなと思いますね」

――登板間隔が空くリスクよりも1年間戦うためのシミュレーションの方が倉野コーチにとって重要?
「もちろん。疲れが溜まって、状態がガクって落ちてしまうと、もうあの程度じゃ収まらない。多少は『試合感覚が1イニング目はなかったです』でもいいんですよ。コンディションの方が大事なんで。そういう風には思ってますけどね」

――大関投手が筑後で行ったライブBPの効果はあった?
「もちろんあると思います。大津もそうですし、今日はスチュワートもやっていますけど、それは間違いなく良い効果があったと思います」

――今日は海野選手とのバッテリーだったが、変化はあった?
「拓也ともね、すごくしっかりとしたものは、投球はできてたんですけど、海野と今年初めて組んでまた違った大関のスタイルが見れた。拓也でも海野でもどっちでも大関は自分の力を出せるということはわかった。ピッチャーに合わせただけで選んでいるわけではないじゃないですか。野手の絡みがあるので、そういう意味では、今日は良かったんじゃないかなと」

――大関投手は具体的にはどういった部分に修正をかけてきた?
「それはすみません。シーズン後にしゃべります」

――最小失点に抑えてくれて、打撃陣が最後に結果を出してくれるっていうのは、どんな気持ちになる?
「嬉しいですよそれは。正直、ピッチャーが何点取られても勝てばいいとは思ってるんですけど。でも、攻撃陣になるべく負担をかけないようにっていうのも思ってるし。でも、最小失点で勝てたんでよかったです」

――大関投手の1番評価できるボールは?
「今日は変化球が途中から決まり出し、そこの出し入れもできたので、そういうところが今日のピッチングに繋がったと思いますね。真っすぐで行きたいところを、変化球でいくっていうのもやっていたし、バッターの反応を見ながら、海野と2人で話しながらできていたので良かったと思います」

――バッテリーの話し合いが実った結果だった。
「だと思います。それは拓也も一緒です。うちのキャッチャーはすぐに話をしてくれるんで、僕らコーチとしてはすごく助かるんですよね。もちろん高谷コーチがうまく誘導もしてくれているし。本当、僕、仕事していないなって毎日思ってますけど。申し訳ない(笑)」

――それは以前ホークスにいた時より、今年の方が強く思う?
「2019年なんで、1軍のピッチングコーチだったのは。コミュニケーションはね、結構キャッチャーとピッチャーは取っていたんですけど、その時よりももっと進化してるような気はしますけどね。スコアラのデータにしてもそうですし、かなりいい方向に進んでいるんじゃないかなと思ってます」

(飯田航平 / Kohei Iida)