なぜ栗原陵矢に代打・緒方理貢? 打率.118と低迷…首脳陣の我慢と苦渋の決断

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:荒川祐史】

「7番降格」の栗原に代打…「それまでの内容が悪かった」

 ソフトバンクは9日、熊本のリブワーク藤崎台球場で日本ハムと対戦し、2-4で敗れて今季初の連敗となった。奪った得点は3回に近藤健介外野手が放った2ランによる2得点のみ。10安打を放ちながらも打線が繋がらず、得点には至らなかった。この試合で打線のブレーキとなってしまったのが4打席凡退の山川穂高内野手、そして3打数無安打に終わった栗原陵矢内野手だった。特に栗原は2三振1併殺、ここまで打率.118と苦しんでいる。

 2回1死走者なしでの第1打席、4回先頭での第2打席と、どちらも結果は三振。第3打席は6回のチャンスで巡ってきた。先頭のアダム・ウォーカー外野手が左前打で出塁した無死一塁の場面。栗原は初球から積極的に打ちにいくも、外角低めのカットボールを引っ掛け、結果は最悪の二ゴロ併殺打。8回1死一塁で打席が巡ってきたが、この打席では代打が送られた。

 開幕から9試合続けて近藤健介外野手に続く6番打者として出場してきた栗原だったが、この日は今季初めて7番での起用となった。近藤は打率、本塁打、安打、出塁率の4部門で現在リーグトップの数字をマーク(成績は9日現在)。その後ろを打つ選手の状態が、チームの勝敗に大きくかかわってくる。「ちょっと調子がなかなか上向きに来ないんで、もうちょっと楽なとこでっていう感じですね」。試合後、村松有人打撃コーチは栗原の打順を1つ下げた理由と、その栗原に代打を送った意図を語った。

「もう調子を上げてもらわないとね。近藤の後っていうところは本当に大事になってくるんで。そこでしっかりやってもらわないと、なかなか繋がってこないんで。ウォーカーにも負担がくるし、そこはクリに上げてもらうしかないですね」

 キャンプから三塁手争いで栗原の対抗馬として考えられていた井上朋也内野手が2軍で調整を続ける中、状態が上がらなくても栗原にかかる期待は大きい。本来の姿ではないことを首脳陣は百も承知だが、栗原をスタメンから外すわけではなく、状態を考慮しての7番起用だったと村松コーチは話す。

 それでも、4打席目には緒方理貢外野手が代打に送られた。村松コーチは「やっぱりそれまでの内容が悪かったっていうのがあるんで。(中村)晃もいますので、いいところで使おうっていう。もう終盤、それしかなかったんで……っていう感じです」と語る。

 なぜ、緒方だったのか。その理由を村松コーチは「もうちょっとチャンスを拡大してっていうところだったんです。(中村晃は)その後行くしかなかったんでって感じですね」。点差は2点ある。残る攻撃は2イニングしかない。緒方にはさらなる好機の拡大を期待し、得点へのチャンスがより広がったところで中村晃を送ろうという目論見だった。

 10試合が終了した時点での栗原の成績は、34打数4安打の打率.118、3打点。この結果をだれよりも重く受け止めているのは栗原本人だろう。球場を後にする際にはフードを被り、足早にバスに乗り込んだ。その姿からは悔しさがひしひしと伝わってきた。シーズンはまだ始まったばかり。次の試合は11日の日本ハム戦(北九州)。気持ちを切り替える時間が1日ある。下を向かずにいつもの明るい表情を見せてほしい。

(飯田航平 / Kohei Iida)