26日夕方に突然鳴った電話 大津亮介が倉野コーチに伝えられた開幕ローテ入り

ソフトバンク・大津亮介【写真:小林靖】
ソフトバンク・大津亮介【写真:小林靖】

29日のウエスタン・リーグ阪神戦に調整登板「全然悪くないなって」

 ソフトバンクの大津亮介投手が29日、タマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの阪神戦で調整のために先発し、3回を投げて3安打無失点と好投した。和田毅投手の負傷により、開幕6戦目の4月4日・ロッテ戦(PayPayドーム)の先発が巡ってきた右腕は「普段通りにいつもやってきたように投げました。真っ直ぐで押そうと思っていて押せたので、そこは良かったかなと思います」と、順調な仕上がりぶりを披露した。

 初回は高寺を遊飛。福島を三邪飛、遠藤を二ゴロに仕留め、わずか5球で3者凡退という完璧な立ち上がり。2回2死から栄枝に左前安打を許したものの、無失点に抑えると、2本の安打で1死一、二塁とされた3回も得点は与えなかった。走者を背負った場面での“予行演習”もでき「セットでも力強く投げられましたし、ストライク先行、テンポよくというのを意識して投げられました。全然悪くないなって思いました」と納得の調整登板となった。

 当初は開幕ローテから漏れ、チャンスを待つことになるはずだった。だが、ホーム開幕戦での先発が内定していた和田毅投手が、26日に行われたウエスタン・リーグの広島戦(タマスタ筑後)で左手中指に打球を当てて負傷。指先にできたマメの状態も思わしくなく、登板を回避することに決まった。4月4日の6戦目で先発する見込みだった大関友久投手が和田の代役となり、2日の本拠地開幕戦へ。空いた6戦目に大津が入ることになった。

 緊急事態による開幕ローテ入りが正式に決まったのは26日の夕方だった。和田が負傷したウエスタン・リーグの試合後、大津の電話が鳴った。倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)からだった。「電話で『6戦目に確定したから、早めにチャンスが来たからしっかり頑張ってくれ』と」。4日のロッテ戦での先発が確定した瞬間だった。

「チャンスがいつ来るかわからないので、常に準備はしていました。『ここがありそう』とは言われていたので、うまく調整しながら、6戦目のことを言われてからは、日程的にも調整できない日程ではなかったですし、対処できてます。どんな形であれ、最初の6戦目に投げられるので、やれるだけ、そこを目指してやってきたのでやってやろうと思います」

 倉野コーチは開幕ローテを「18通り」も考えていたと明かしていた。いかなる事態が起きても対処できるように、綿密にシミュレーションを繰り返していた。だからこそ、和田の代役としてホーム開幕戦を託された大関も、6戦目に入ることになった大津も備えができており、慌てることなくそれぞれの役割を冷静に受け止めた。
 
 この日の調整登板でも状態の良さは変わらなかった。先発予定だった28日の広島戦(タマスタ筑後)が雨で中止になり、調整登板が1日、スライドになった。本来は4回だったイニング予定も1イニング減る中で、テンポよく投げて凡打の山を築いた。

「テンポのところは倉野さんに『どうしても間が長い、ルーティンが長くて、打者の考える時間が多い』と言われて、打者に考える隙を与えないようにテンポよく投げるようにしています。巨人戦からちょうど始めて、それが自分によく合っていて、いい形でこれています。初球からストライクを取れたりすると、自分自身もリズム良く投げられますし、気持ちよく投げられます」

 確かな手応えと状態の良さを感じつつ、盤石で迎えられそうな開幕6戦目のマウンド。和田のアクシデントにより巡ってきた機会にも「任された6番目なんで、しっかりと結果にこだわって、勝てるように、自分のピッチングをします」と意気込む。手にしたローテのチャンス。結果に繋げて、このまま手放しはしない。

(飯田航平 / Kohei Iida)