ソフトバンクの甲斐野央投手が、FAで加入した山川穂高内野手の人的補償として西武に移籍することが決まった。その甲斐野と1996年生まれの同級生で、公私共に仲が良かった栗原陵矢外野手が「鷹フル」に心中を独占激白。親友だからこそ知る、甲斐野の誰からも愛される人間性や魅力について語り明かした。
現在、自主トレのために井上朋也内野手と米国に滞在している栗原。甲斐野についての取材をお願いすると「もちろん!」と快諾してくれた。心中は複雑だ。「寂しいですよ、アイツがいなくなるのは。甲斐野はふとしたときにいてくれる存在なんで」。込み上げるのは寂しさ。太陽のように、周囲を明るく照らす存在だった。
「甲斐野の顔を見れば、ホッとするっていう感じですかね。安らぐ、みたいな、何も気を遣わずにいられる感じでした」。栗原は福井の春江工から2014年のドラフト2位でホークスへ入団。甲斐野は東洋大姫路高から東洋大を経て2018年のドラフト1位で入団し、2人はチームメートになった。
初めて2人がコンタクトを果たしたのは、甲斐野がルーキーとして参加していた2019年の新人合同自主トレ中だった。「僕と堀内汰門(2014年育成ドラ4の捕手)で甲斐野の球を捕らせてもらったんですよね(当時、栗原はまだ捕手登録)。同級生というのもあったので。それで、そのまま一緒に汰門の部屋でトランプをしたのを覚えています」。
実は甲斐野も栗原との初対面について、全く同じことを語っていた。新人合同自主トレ中のブルペンで初めて言葉を交わし、そのまま一緒にトランプをした。栗原は「初めから喋りやすかったですね、やっぱり。面白いヤツだなって思いました。何を話した、何で笑ったとかは覚えていないですけど、とにかく面白かったのは記憶にあります」。すぐに意気投合。一気に仲良くなり、親友になった。
甲斐野が入団した2019年から5年間、数えきれないくらいの思い出がある。「一度、長崎がどこかに海野(隆司捕手)の車で甲斐野と3人で行ったことがあるんです。その道中、車の中でも、もうずっと喋っている感じでした」。プライベートで一緒に旅行に行ったようなことはほとんどないが、仲の良さはチーム内でも随一だった。
栗原との同期に松本裕樹投手、笠谷俊介投手がおり、甲斐野との同期入団には巨人移籍が決まった泉圭輔投手や育成の岡本直也投手、重田倫明元投手(今年から広報に就任)、2022年には藤井皓哉投手、ドラフトで野村勇内野手が入団。続々と増えていった「96年世代」はホークスの中でも特に仲の良い世代となり、同級生会も事あるごとに開かれた。
昨年12月に「鷹フル」で行った忘年会も、西田哲朗広報や同級生たちからの「甲斐野と栗原がいないと始まらない」との声があり、まず2人のスケジュール調整から始まった。ファンからの人気も高い“96年組”の中心に常にいるのが、甲斐野と栗原だった。
最もよく知る1人として栗原は甲斐野という男をこう表現する。「やっぱり周りを明るくしてくれる人間じゃないですか、一番は。人間関係がすごく上手いし、ふざけられるけど、ちゃんと礼儀とかはしっかりしている。同級生に対しても、そういうところはめちゃくちゃ、ちゃんとしてるんです」。先輩にも後輩にも、誰からも愛される存在だった。
甲斐野は5年間、プレーしたホークスを離れ、今季は西武が新天地となる。盟友の栗原はこう断言する。「アイツは大丈夫ですよ。どこに行っても多分、絶対に大丈夫な人間なんで」。誰よりも甲斐野を知るからこそ、新天地にすぐに馴染むことに疑いの余地はない。ライオンズファンにも、すぐに愛される存在になるはずだ。