無駄に過ごした2か月半…怪我は「理解できなかった」 自暴自棄から救った家族のLINE

契約更改交渉に臨んだソフトバンク・川原田純平【写真:藤浦一都】
契約更改交渉に臨んだソフトバンク・川原田純平【写真:藤浦一都】

高卒3年目の川原田純平が10万円アップでサイン「いろんな感情があった」

 後悔だけが残るリハビリ期間だった。ソフトバンクの川原田純平内野手が28日、PayPayドームで契約更改交渉に臨んだ。10万円アップの570万円(金額は推定)でサイン。「(アップだと)全然想像していなかったです」と驚きの表情でハンコを押した。左膝を痛めて2か月以上のリハビリ生活。「自分の中でいろんな感情があった」と、晴れない表情で語る。

 3年目の今季は1軍で2試合出場。ウエスタン・リーグでは59試合に出場して打率.178、1本塁打、7打点に終わった。川原田が今も悔やむのが、5月から7月中旬までのリハビリ期間。左膝を痛めて「復帰のメドも知らされていなかったですし、病院に『あと2週間』『あと2週間』みたいに言われました。自分の中でイライラというか、いろんな感情もあったので、リハビリ期間を無駄に過ごしてしまいました」と振り返る。

 左膝は、高校時代にも遊撃守備で痛めたことがある箇所だった。「古傷なのか新しい傷なのか、どっちかわからなかった。怪我の内容もあまり自分の中で理解ができなかった」と、自分の進むべき道がわからなかった。結果的に「外側広筋でした。肉離れみたいな感じです」と今でこそ診断結果をわかっているものの、先が見えない期間だけが続き、苦しかった。

高田知季コーチと“面談”…かけられた言葉は「まだまだ先は長いから」

 高田知季リハビリ担当コーチ(来季から2軍内野守備走塁コーチ)と話をしたという。「高田コーチと面談で話した時に『しっかり怪我と向き合って復帰しよう。まだまだ先は長いから』と言われて、そこから気持ちを入れて練習するようになった」と振り返る。満足なプレーができず、孤独の中にいる中で、寄り添ってくれる存在がありがたかった。

 支えてくれたのは、岩手県にいる両親だった。頻繁にLINEで連絡をくれたといい「『大丈夫か?』って。『落ち込むなよ』『自暴自棄になるな』みたいな感じで、お父さんやお母さんがLINEをくれました」と内容を明かす。岩手と福岡、遠く離れた地だけに、家族が心配する気持ちも想像できる。「僕から連絡はしないので、やっぱり心配になるんだと思います」と両親の気持ちはしっかりと受け取っていた。

 自主トレは宮崎の都城市で行う。「数字では出ているんですけど、自分は体重も筋量も足りていない。まずは3年間を通じて筋量が上がっていないので、もう1度ウエートトレーニングや食事に向き合っていきたいです。応援してくれている親や、ファンの方々のためにやっていきたいです」と目標を語った。4年目となる2024年、支えてくれた方々に恩返しできるシーズンにする。

(竹村岳 / Gaku Takemura)