谷川原健太から「外野手剥奪」 滲む“親心”と真意…小久保裕紀新監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀監督【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀監督【写真:竹村岳】

「答えが見つかっているものは作りやすい」 作り上げたい“ホークスの走塁”とは

 ソフトバンクは12日、宮崎県の生目の杜運動公園で行われている秋季キャンプで第3クール3日目を迎えた。午前中には全体で走塁練習を取り入れて、ナインの意思を統一したという。築き上げていきたい「ホークスの走塁」とは? さらに小久保裕紀新監督は、来季9年目を迎える谷川原健太捕手について「外野手剥奪」と、捕手に専念させることを明言。その真意を語った。練習後の一問一答は以下の通り。

(監督が自ら)
「ネタないで? 大丈夫?」

――走塁練習をされていたが、走路における“ふくらみ”など、本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチや、井出竜也外野守備走塁兼作戦コーチが、技術的な指導をしていた。
「昨日、夕方に1時間くらい話をして、座学だけではわからないところ。目的としては、1軍から4軍まである中で『ホークスの走塁とはこうだ』というものを作り上げようという第1段階ですね。もちろんアップデートはしますけど、それで基本的なところを確認するというところで、1時間やりました」

――コーチから選手に、走塁を作るというところ。
「そうです。コーチから、プリントを全員に渡した。それがゆくゆく、ホークスといえば……と残していくような、城島(健司会長付特別)アドバイザーと話をしている。たまたま縦割りで4軍までのコーチがいるので、やりやすかったです。作りやすいのは作りやすかったです」

――全力疾走なども入っている。
「そんなのは入っていないです。技術的なことと、僕がよくいう姿勢の部分。100人がいれば100人ができること。“できない”が存在しないものも入っている。それは選手には伝えました。『これを守らない限りはホークスの一員ではありません』と。それは当たり前のことなんですけど、できることですから」

――どんな内容があるんですか。
「例えば、ホームまでとにかく、送球が来ていなくてもホームまでは同じペースで駆け抜けるとか。それは技術力はいらないから。あとはホームベースには真っ直ぐ入るのが一番いい。それはヘッドスライディングであろうが、足からであろうが、問わない。その代わり、横に滑って、横から(回り込む)のは禁止。それも技術はいらない。そんなところです。もうちょっとあるんですけど、戦術的なところだから。姿勢の部分として、みんなが守る必要がある。走塁で言えば、そこさえ守っていればホークスの一員ですよねというものです」

走塁練習を行う様子【写真:竹村岳】
走塁練習を行う様子【写真:竹村岳】

――今季はセ・リーグで、本塁の前でペースを緩めて、生還が認められないシーンが何度かあった。
「あれは野球人生に携わっている間に、あってはいけない。1万回に1回もあってはいけないプレー。僕もプロに入った時に(高橋)慶彦さんに、口酸っぱく言われていた。僕も結構歯向かっていたんですけどね、ボール来ていないのになんで走らなあかんのですかってことを言ったり。でも今思えば、あの癖付けがものすごく僕の野球人生に生きたので」

――全体で統一することで、隙のないイメージを植え付けることもできる。
「そこまでは考えていないですけど、ただホークスの一員であるならこれだけはしましょうということは作らないといけない。それは走塁バージョンができあがっただけです」

――守備バーションもあるんですか。
「後々に。ただ答えが見つかっているものは作りやすいんですけど、バッティングにしても守備にしても、それぞれの理論があるやつはなかなかチームとしてっていうのは落としにくい。ただゆくゆくはそうしたいのは城島アドバイザーからも来ているので。今回もフロントと、ホークスとして目指すべきところは、1つに向かっていくのは大事じゃないですかね」

走塁練習の様子【写真:竹村岳】
走塁練習の様子【写真:竹村岳】

――このキャンプに参加していない選手にも同じ。
「全く同じミーティングを来春にして、当然そういう練習も入れます。それはできる、できないは関係ない。もちろん打球判断とかね、技術を上げないといけない選手は練習メニューに組み込むんですけど。誰もができることはきっちりとやる。それは当たり前の話ですから」

――先日は城島アドバイザーが宮崎キャンプに来ていた。監督としても密にコミュニケーションを取っていくことになる。
「それは別に、去年もそう。今年のシーズン中も取っていました。城島アドバイザーが来ていて、キャッチャーのところでね。今日で谷川原と渡邉陸は(筑後に)戻るので。フレーミングの技術の確認をするためにも、投手の球じゃないと練習ができない。彼ら2人は最終クールは戻そうか、と」

「谷川原に関しては個別に呼んで、コーディネーターとバッテリーコーチを入れて、もう外野手剥奪。キャッチャーオンリーです。キャッチャーで拓也(甲斐捕手)と勝負しろということをハッキリと伝えた。そのためのオフにしてくれと伝えました」

――使い勝手のいい選手だが、彼の将来も思うと。
「彼のことを考えた時に都合のいい便利屋で終わらせるのはかわいそう。この世界に入った限りは。キャッチャーとしてのスキルは、ブロッキングとスローイングは合格ラインになっている判断を僕たちはした。もちろん、今から上げないといけないんですけど、十分、拓也にも挑戦状を叩きつけても……というところでコーチの意見も一致しました。本人に伝えたので、逃げ道はない。しんどいかもしれないですけどやりがいもあるかなと思います。目は輝いていました。イキイキしていました」

――甲斐拓也捕手にとっても、突き上げになる。
「もちろんです。それがチームの底上げに繋がり、チームの戦力アップにも繋がるという判断です」

――この秋季キャンプではチームプレーは入れていないが、少しずつ戦い方の輪郭も見えてきた。
「いや、まあチームプレーは春にすればいい。戦い方の構図はありますけどそれは主力が来てからじゃないとできない話ですから。来てからやります」

ソフトバンク・谷川原健太【写真:竹村岳】
ソフトバンク・谷川原健太【写真:竹村岳】

――井上朋也内野手はドライブラインのフィードバックを受けていた。
「良くなりましたよ。あの短期間のうちに。でも噛み砕きながら、自分の言葉で語って終わるのが大事。ドライブラインの人が帰ったとしても、コーチのあるべき姿は、今日聞いていたのは『今日、何がよかった?』と。聞いたのは、今日帰って、今から友達に電話して『ドライブラインで今日何したん?』って聞かれて、なんて答える? って言っていた。それって自分の言葉で理解しないと伝えられないので、その作業は特に3軍、4軍のコーチには大切なので、落とし込むことが大事だと思いました。自分で理解しないと、同じことを繰り返すので」

――内容としてはどんなものだったんですか。
「勇(野村勇内野手)に近いです。股関節が硬いのはみんなわかっている、守備を見ていても。あそこの改善はルーキーから言われているんですけど、まだされていない。骨盤の入りの角度が浅すぎます。それはハッキリと出ていますし、ドライブラインの前に、ホークスのやつでも出ているので。ドライブラインの人が言うのはごもっともです」

(竹村岳 / Gaku Takemura)