ソフトバンクに復帰した倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)がワールドシリーズを制したレンジャーズのチームマネジメントについて語った。前日、小久保裕紀新監督と食事を共にし、世界一球団のイロハを共有。報道陣にもその内容の一端を明かした。倉野コーチのコメント全文は以下の通り。
「僕はメジャーにいたわけじゃないので(直接は)わからないですけど、メジャーにいた人に聞いたりしました。スプリングトレーニングのときは一緒の敷地内にいたんで、去年と明らかに雰囲気も変わっていて、監督が変わるだけでこんなにチームって変わるんだなとは感じました。メジャーの関係者にも、なんでこんなに変わったのかって聞いて、いろいろ教えてもらって、僕の中でどんどん繋がってきた感覚です」
――具体的にどういう規律があった。
「規律は正直、アメリカの方がすごい。マイナーなんて、日本のファームの選手よりも遥かにルールはたくさんある。それをみんな知らない。ルールはアメリカの方がたくさんあって、ただメジャーになるとそういうわけじゃないんですけど。簡単に言うと、みんなが同じ方向を向いていなかったのを、同じ方向に向かせたという(ボウチー監督の)リーダーシップはすごかった。みんなが本当に同じ方向を向いたので」
「具体的に言うと、当たり前のことを当たり前にキッチリやるということ。全力疾走は絶対にするし、ピッチャーであればベースカバーやバックアップを絶対にやる。そういう逸話がたくさんあって、メジャーで起こったことを、マイナーにもそういう立場の人がキッチリと伝えるんですよ。映像を見せながら、メジャーでこういうプレーがありましたって。年俸30億円もらってる選手がこんなに全力疾走してるんですよっていう実際の映像を見せながら、マイナーリーグにも下ろしてくる。チーム全体のマインドセットを統一させるというのはすごい感銘を受けました」
――実績があってもそれができなければベンチスタートになったりする。
「その辺のこともすごく厳しかった、と聞きました。昨日、小久保さんにも具体例として話したんですけど、年俸30億円の選手が8-1の大量リード、8回1死一塁の場面でゲッツーになるような平凡なセカンドゴロを打って、それを全力疾走してセーフにしたんですよ。勝っていて、7点のリードがあるのに。それが本当にチームとして進むべき方向なんだよ、というのを30億円の選手がやる。主力がそういう姿を見せることで、みんなが同じ方向を向く」
――小久保監督が会見で言われていたことと同じ。
「もともとホークスにも、そのポテンシャルはあると思うんです。僕も3年前までいましたし、自分も関わっていましたので。みんなできるんで、もう1回ちゃんと整理して、向くべき方向を向けば、絶対に良くなると思っています。できる力はあるし、素晴らしい選手ばかりなので。客観的にそう思います」
――小久保監督から関心を持って聞いてきた。
「僕の方からです。僕もどんどんそういうのを伝えていきたいんで。監督だけじゃなくてチームのみんなにも伝えたい。次のクールから勉強会の時間も作るんですけど、僕が得たものはちゃんと還元したいな、と。それを聞いてどう思うかは本人次第なんで。みんな実際には行っていないんで、イメージだけで多分語っている。だから、ちゃんと現実、リアルを話すことが僕の役割」
――小久保さんとも関係は長い。小久保さんにはそういうリーダーシップがある。
「それは元々思っています。ただ、僕が小久保監督を評価する立場でもないですし、そんな関係でもない。昔からお世話になってるし、会見でも言いましたけど、小久保監督は僕の恩師の1人でもありますんで、すごく楽しみです。工藤さんのときもそうでしたけど、小久保さんもすごく器の大きな方だと思っているので、僕もまたいろいろまた学びたいなって思っています」
――小久保さんが監督になられて食事は初?
「はい。昨日会ったのが1年ぶりぐらいですからね」