新たな挑戦が始まる。ソフトバンクの大津亮介投手が来季は先発に挑戦することが明らかになった。1軍監督に就任した小久保裕紀新監督から直々に先発挑戦の考えを伝えられており、2日から始まった秋季キャンプでは、来季を見越したトレーニングに励んでいくことになる。
2023年の戦いが終わり、1週間のオフが明けた10月23日のことだった。秋季練習が始まり、チームは来季に向けて始動した。午前に就任会見を行った小久保新監督から直々に先発転向の考えを伝えられたのは、この時だった。
「小久保さんに挨拶行ったときに『来年は先発で行こうと思ってるから』って。倉野さんが来るからそこでまた話してトレーニングとか考えていこうって話をしてもらいました」
大津はまず挨拶に行っただけのつもりだった。にも関わらず、小久保監督からの“先発転向話”に不意をつかれたが、「いきなり言われると思わなかったんで。秋は先発転向に向けてやっていこうと自分自身で思っていたんですけど、本当に(先発を)できるのかなとも思っていて。直接言われて少し安心しました」。大津にとっては願ってもいない言葉だった。
大津にとって望んでいたポジションだ。社会人時代も先発として投げており、プロ1年目の春季キャンプでも開幕ローテ入りを目指して練習していた。チーム事情もあって今季は中継ぎとしてフル回転。前半戦だけで34試合に登板し、一時ファーム調整の時期もあったが、最終的に46試合に登板した。1年間、1軍で戦い抜く難しさを肌で感じた。中継ぎでの経験も非常に濃く、やり甲斐も感じていたが、先発したい思いは頭のどこかに常にあった。
望んでいたこととはいえ、簡単なことだとも思ってはいない。「先発をするなら、やっぱり開幕の6人に入れるようにしないといけない。2軍でも頑張っている先発ピッチャーはいるので、難しいかもしれないですけど、(開幕ローテの)6人に入れるようにしたいです」。競争が激しいことは重々承知。その場所を勝ち取るために、秋から気合いは十分だ。
先発としてやっていく上でやはり求められるのはスタミナ面の強化。秋から来春にかけての強化テーマとして「身体はそんなに大きくするつもりはないので、筋力と身体の大事なよく使う部分とかを鍛えて、怪我しないように、まずは7回投げられる身体作りをしたいなと思っています」と掲げる。
プロでの先発はもちろん初めて。「中継ぎでは1イニングを全力で投げていた。先発になったら毎回全力では持たないと思うんで、8割の力で。8割の力になると今よりコントロールもよく投げられると思うので。変化球でゴロを打たせて、早めにアウトを重ねていける良いイメージはある」。
1年間、中継ぎとして投げてきた手応えもある。「投球スタイルは変わるけど、1軍のバッターに対して1年間投げてこられたっていうのが、やっぱり自信になると思う。来年に繋がる大きな経験だったと思います」。チームにとって今季大きな課題となった先発陣。大津はルーキーイヤーの経験を糧に、ローテ争いに挑む。