「逃げないほうがいい」若鷹に説いた“大人のススメ”… 小久保新監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀監督【写真:米多祐樹】
ソフトバンク・小久保裕紀監督【写真:米多祐樹】

育成の大竹風雅が2回無失点、小久保監督も「今日初めて見た、面白いです」

 ソフトバンクの2軍は29日、秋季教育リーグ「第20回みやざきフェニックス・リーグ」で楽天と戦い、2-5で敗戦した。先発の杉山一樹投手が5回3失点、松本晴投手が1回2失点も、育成の大竹風雅投手が2回をパーフェクトに抑えた。試合後の小久保裕紀新監督が「今日の収穫」と大絶賛した選手とは……。

――先発の杉山投手は4回までは好投だった。
「エラーがあったので。でもフェニックスでは結構、姿が良くなってきましたね」

――出力も出ていた。
「フィールディングもずっと、コツコツやりながら。6人(1軍の先発ローテーション)に入ってくるかどうかはわからないけど、勝負できる形にはなりつつあるかなっていう印象ですね」

――大竹風投手も好投だった。
「今日ね、初めて見ました。トミー・ジョン(手術)もしてね。いつもリハビリにいて、ウエート場にいたんですけど、いい投手ですね。今日の収穫は彼です。大卒で、支配下で入っているので、スカウトの評価はそこそこ高かったと思うので。面白いです」

――具体的によかった点は。
「フォームですね。テークバックが小さくて、あれで150キロ。左打者から三振を取ったのは150キロだったそうなんですけど。面白いです」

――未知数なところもあった。
「今日初めて見たからね。期待以上というか、十分戦力になれそうなものは見えました。ずっと見ていた3軍のコーチなら『あああでもない、こうでもない』っていうでしょうけど。僕は今日初めて見たので」

――相手投手は1軍クラスだった。見逃し三振が多かった印象だが。
「やっぱり、ストライクゾーンが結構広い。わかっているんですけどね。だから、みんな映像を見て『あれはボールやった』って言うんですけど。1軍の選手もそうですけど、そんなことばかりなので。ストライクと言われたらストライク。なんて言うんですかね。正式にはボールでしょうけど、印象ってあるじゃないですか。実際、ボールかもしれないけどっていう確認はするけど。でもそこに逃げない方がいいですよね、特にここにいる選手たちは」

――その日の審判によっても変わること。
「全て事実で判断されるほど、世の中は甘くないので。と、僕は思います」

――井上選手も三振があった。
「(笹川)吉康とか1球も振らずにね」

――ベンチでもそんな話はした。
「今日はまだその話はしていないですけど。全然違う、作戦の話をしましたけどね」

――今日のストライクゾーンはここが広いから、という指示も必要になる。
「選手同士ではそういう話はしていますよ。情報交換はするでしょうけどね」

――“野村勇監督”はいかがでしたか?
「面白かったのは1点ビハインドで、先頭のジェシー(水谷瞬外野手)がヒットで出て。仲田(慶介外野手)の時に最初にセーフティをしてファウルになって、送りバントに切り替えて3ボール1ストライク。それでバスターエンドランにするのかどうかというところですよね。攻撃的に行くならバントじゃもったいないし、バスターエンドランなら見逃せば一、二塁になる。次の井上でもう1回バントを考えられるみたいなシチュエーションが一番面白かったですね」

「そこで、安心して選球眼が良かったりとか、バスターエンドランで出たからってなんでも飛びついたら、四球(を選べる)のところが……ってなるじゃないですか。あとはバスターエンドランの技術が高くて、バスターから切り替えた時に強い打球をしっかりと打てる選手だったら、よりフィットするよね、みたいな話を今日したので」

「仲田やったらバスターエンドランでも面白かったかなって思いながら見ていたんですけど。フルカウントになったら、今度は普通のエンドランを出すっていうので。だったら、3ボール1ストライクからのバスターエンドランでも面白いかなっていうね。一番面白いところですけどね。正解はないんですけど。より選球眼がいいやつの方が、そういう選択肢は広がるかなっていう」

「送りバントで、守りじゃない、攻撃的なサインになれる選手の方が幅は広がるよねって話はしました」

――仲田選手のようなタイプを考えると、なおさら。
「仲田はあまりバスターエンドランは得意じゃないんですけど。でも確実に作戦系はみんな上達していると思うんですよ。ここにいる子たちはですね。それは1年間、作戦の日を週に2回作っているわけなので。レベルは1軍とは違うけど、型ができていなかったら、間合いができていなかったら成功率は高まらないので。セーフティを構える間合いとか、そういうのをずっとやって。去年の秋から始めたんですけど。1年やったらやっぱりちょっと変化はありますよね」

「去年このフェニックスに初めて本多(雄一2軍内野守備走塁コーチ)が来た時に、セーフティの構えで、本多コーチが手本を見せて。『この間合いじゃないとここにボールは転がせない』っていう間合いを全部教えたんですけど。やっとそれが1年くらい経ったら、ちゃんといいところに転がるようになってきたよね。今日の緒方(理貢内野手)のバントもそうですけど。ああいうのが増えてきましたよね」

――足の速い選手には心がけてほしいこと。
「そうそう。全部そうですけど。バッティングも間合いですし、守備も間合いです。ボールとの距離っていうのを、一定の間がある方が当然、バントもいいところに転がるし。見えてすぐにバットを出しても、なかなか成功率は高まらないので。少しずつ上達はしていると思いますけどね。そのもう1個上に行くには、という話はしました」

「まあでも、今日は僕的には大竹(風)が収穫です。あんないいピッチャーと思わなかったので。というか、初めて見たので。今日がマックスではないことを祈ります」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)