気になっていた光景「連敗の時にベンチがヘラヘラ」 小久保2軍監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:米多祐樹】

自身が見てきた同僚の“失敗”を若手に伝える「そういう人は長くプレーしていない」

 ソフトバンクの2軍は16日、宮崎県内で行われている秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」で楽天と対戦し、5-4で勝利した。先発の三浦瑞樹投手は4回3失点も、大城真乃投手、田上奏大投手、田浦文丸投手が1回無失点、泉圭輔投手が2回1失点と相手の攻撃をしのいだ。打線は、初回1死二塁から暴投と吉田賢吾捕手の二ゴロの間に2点を先制。3回に逆転されるも、4回に牧原巧汰捕手の適時二塁打で同点に追いつき、5回の吉田賢吾捕手の犠飛で勝ち越した。試合後の小久保裕紀2軍監督のコメント全文は以下の通り。

――今日は水谷選手が監督を務めた。
「結構、状況に応じて、ストライクが入らないピッチャーの時はファーストストライクが入るまでは『待てでお願いします』とか言ってきてましたよ」

――打者はそれでボールを見極めていた?
「見極めていたというよりは4球連続でボールだったんで、次のストライクが入るまでは『待て』で、そうしたら次も四球で。バントの形でエバース(バントの構えからバットを引いて見逃す)にして、1ストライク取られたら、バントになるけど、入らなかったら、それも『待て』っていう風に言っていた。簡単にストライクが入らない中で、簡単にバントをするのは勿体ないっていうのも考えていたんじゃないですか」

――今日の試合展開ではサインを出す機会が多かった。
「ゴロゴーなのかギャンブルスタートなのか。ヒットエンドランも『次がボールだったらお願いします』とかも言っていた。たまたま前に飛んでしまったけど」

――しっかりと考えている。
「あまり迷うところがなかったからね。(8回2死一塁、三塁で)渡邉陸を走らせましたけど、あの辺も、セカンドに送球したら、サードランナーがホームに行くんで、という取り決めなんで、そうしたら『2ストライク後に一塁ランナーを走らせてください』と言って、結構、積極的に動いていましたよ。僕の野球勘とは全然違うところはもちろんありますけど、それはそれでいいんです。正解はないんでね」

――緒方選手が4出塁。二塁から暴投で一気に生還。
「1番バッターとしては申し分のない活躍で、バッティングの状態はずっといいと言うか、3軍でもずっと打ち続けてはいたんでね。宮崎の土地が合っているんじゃないですか」

――走塁練習の成果が見られる。
「今日、吉田にも話したんですけど、足は遅い、打球判断は鈍い、ではもう本当お荷物になるから、足が遅くても打球判断さえ良くなったら、二塁からホームに到達するまでのタイムは変わらんようになってくるから、そこの意識だけは高く持ち続けて練習するようにって話はずっとしているんで。クールの3日目の練習は今日みたいに(ランナー)一、二塁で、1か所でバッティングして、外野手をつけながらの判断っていうのを1年間やってきたんで。そのぐらいは成果が出てこないとおかしいですよね」

――試合後のミーティングではどんな話を?
「今の子は照れ隠しするじゃないすか。笑うじゃないですか。笑っていい場面と悪い場面があるっていう話をして。西尾の名前を出して悪かったけど、(3回1死一塁で)ミスして、その後に3点取られて、帰ってきて笑いながら三浦に『すいません』って言ってたんで。その顔じゃないでしょ、と。僕らはプロなんで、僕らのプレーを、PayPayドームであれば4万人ぐらいのお客さんに見られ、テレビを通して何10万人っていう野球ファンが見てくれている中で『今その顔する?』っていうことになるんで」

「自分がベストを尽くしましたっていうのはアマチュアの世界であって、僕らは感動を与えるとか、自分たちにはできないプレーをして、勇気を与えたり、感動してもらったり、ていうのを届けるためにあんなに高い給料をもらっているので。だから『そこは勘違いしちゃいかんよ』っていう話です」

「勘違いというか『ファンの顔までちゃんと浮かんでプレーしてますか?』っていうことを伝えておかないと、1軍もそうなんですけど『今その顔ができる?』っていうのが、今の子は多すぎるので。それは時代とか風潮とかじゃないと思うんですよ。やっぱり勝負師としての顔って、どの時代も一緒なんで。だからって暗い顔をする必要はないよ。ただ、『その場で謝罪しないとあかん時、謝罪をするようなプレーをした時には、普通の顔で歯を見せずに謝罪した方が男の生き方としてはかっこいいよ』みたいな話をしたんですけど。なんか風潮ですよね、照れ隠し的な」

――そういう光景は多々見てきた?
「うん。『それが時代です』で済まさない方がいいと思います。昔もそんな人はいたので、一緒にやっている時に。でも、そういう人は長くプレーしていないんで。だって勝負の世界に生きていて、しかもプロとして生きているわけですから。ベストを尽くしてミスを許されるのは、アマチュアまでですよ。『ベストを尽くして、ファンに感動を与えられなかったらプロじゃないんでね』っていう話をちょっとしました」

「それはずっと気にはなっていることなんです。シーズン中にも1回、話はしたんですけどね。10連敗、9連敗の時にベンチがヘラヘラしていたみたいな話をしたことがあるんですけど、その先にはファンがいるんで、カメラで抜かれているし、それは良くないと僕は思います。僕は、というか勝負師としてはそんな顔にならないでしょ、っていうところを問いかけておかないとですね。西尾みたいなキャラは、ヘラヘラしたタイプですけど、それはやっぱり区別しないと自分の中で。メリハリというか、謝罪はちゃんとした顔で謝罪した方がいいっていう話ですね」

――牧原巧選手のバッティングの状態は?
「真っ直ぐって分かっている時のバッティングはあんなもんなんですけど(今日の打撃練習では変化球)ミックスって言った瞬間にカーブを空振りしましたからね。バッティングピッチャーというか、僕らぐらいのピッチャーの球の(変化球)ミックスを空振りしていてはダメ。昨日もそうでしたけど、作戦系に関して、2軍は3日に1回は絶対、作戦系の練習があった。練習での中での成功率の差っていうのはすごく感じました」

「練習で成功しなかったら試合で成功しないじゃないですか。『置いて行かれているで』って話をして、2軍にずっといた他の奴らは練習の中での成功率は確実に上がっているし『それ自分でやっていて感じない?』って話をしました。決められていなくても、自分がそういう練習を積極的に取り入れながら。だってサインが出る選手ですから。今、サインの出ない選手って柳田と近藤ぐらいですよ。あとはみんな出るんで。できていた方がいいですよ」

(取材・米多祐樹 / Yuki Yoneda)